きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港惨敗の教訓

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この日曜の香港国際競走に遠征した日本馬8頭は、残念ながら全馬が枕を並べて討ち死に、惨敗と言っても良い結果に終わりました。最高賞金レースの香港カップではネオリアリズム3着、ステファノス4着、スマートレイアー5着と掲示板を確保し、長距離の香港ヴァーズではトーセンバジルが3着に健闘していますから、頑張った!という見方ができなくもないのですが、香港スプリントを圧勝で連覇したロードカナロア、香港マイル、チャンピオンズマイルに加えてカテゴリーを超えてカップも制覇したモーリス、世界のハイランドリールを倒すという世紀のジャイアントキリング(大物食い)をやってのけたサトノクラウンなど最近の日本馬の活躍ぶりを思うと物足りなく思うのは贅沢というものでしょうか?

世界各地のビッグレースに積極的に参戦して、日本馬のプレザンス(存在感)を高めてきた先達の努力の成果でしょうが、日本馬に対するハードルが上がっているという背景もあります。勝たなければ、日本のファンからも世界のホースマンからも納得してもらえません。ディープインパクトの血を求めて、世界中から良血牝馬が日本にやってくる時代ですから、日本馬とくにディープ産駒に勝ってもらわないと、コストをかけて生産した仔供たちの価値が上がりません。同じことは日本競馬全体にも言えそうです。

香港馬大躍進の一方で、ヨーロッパ勢もそうですが日本馬苦戦の原因は、南半球と北半球の違いにもあるのかもしれません。南半球暦の香港は、9月に新シーズンが開幕します。12月の国際競走はシーズン最初のG1であり、心身ともにまだフレッシュな状態にあり、前哨戦を叩いて万全の状態で臨めるアドバンテージがあります。もちろんホームの有利さも味方します。香港の主催レースですから、香港馬有利の条件設定になるのは当然でしょう。遠征馬はよほどの実力派、生涯ピークの状態に仕上がった好調馬でないと通用しません。日本馬出走には海外馬券発売というインセンティブ(オマケ?)もあって招待されやすい事情もありそうですが、遠征馬の決定にシビアなハードルを設ける工夫が必要なのかもしれません。

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