きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

実力伯仲の香港カップ

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今週の日曜日に行われる香港国際競走、日本馬はスプリント2頭、マイル1頭、カップ3頭、ヴァーズ2頭の計8頭の布陣で臨みます。昨日までのスプリント、ヴァーズに続いてマイルのレースを覗いてみると、地元勢は香港の英雄と尊敬を集めロイヤルアスコット遠征のキャリアもあるエイブルフレンドが屈腱炎で競馬場を去り、スプリント戦線同様に世代交代の風が吹いています。ヨーロッパチャンピオンのリブチェスターもアイルランドのダーレーへ種牡馬入りが決まり引退しています。ここは次代を背負う後継馬選抜戦といった趣きになりそうです。安田記念の覇者サトノアラジンにとっては末脚一閃、世界に名を売るチャンス到来です。

4つのG1レースでもっとも賞金が高いのは中距離の香港Cです。日本馬は古くはG2時代のフジヤマケンザン、G1昇格後もミッドナイトベッドやアグネスデジタルと懐かしい馬たちが勝っており、最近もエイシンヒカリとモーリスで2連勝している相性の良さは抜群です。今回は春の中距離頂上戦クイーンエリザベス2世Cを勝っているネオリアリズムが、再び雷神ジョアン・モレイラ騎手を配して春秋連覇を狙います。「強い馬を選び、それに乗るがジョッキーの義務」とモレイラ騎手も日本馬の底力にお墨付きを与えています。惜敗が目立つステファノスも世界のヒュー・ボウマンを迎えて切れ味勝負ならヒケを取らず、7歳牝馬スマートレイアーも真っ白な馬体をゴール前で一際輝かせてくれるでしょう。

地元の総大将ワーザーも至極順調なステップを踏んでおり、最高賞金レースは遠征馬に渡さない気概に燃えています。ヨーロッパ勢も粒揃いな印象です。ライアン・ムーアが手綱を握るドーヴィルはアイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎所属のエリートですが、アメリカでベルモントダービーとアーリントンミリオンを勝ったように遠征は得意です。ポエッツワードはまだG1未勝利ですが、アイルランドとイギリスのチャンピオンSでともに2着して今売り出し中の中距離界の新星です。地元馬、日本馬を含む遠征馬は実力伯仲、今シリーズでもっとも熱い戦いになりそうです。

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