きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

フレミントンの驚き二つ

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毎年11月の第1火曜日(昨日)はメルボルンCデー、フレミントン競馬場があるオーストラリア・ヴィクトリア州では祝日と定められ「国の動きを止めるレース」とまで呼ばれる国民的行事となっています。1着賞金360万AUSドル≒3億円余の超豪華版ですが、20頭立てを超える多頭数の上に、G1レースとしては異例のハンデ戦ですから、波乱を呼ぶことで定評があるレースとなっています。今年も連覇を狙ってヨーロッパから名手フランキー・デットーリ騎手を呼び寄せた1番人気アルマンディンが馬群に沈み、アイルランドから遠征したエイダン&ジョセフ・オブライエン親子厩舎のワンツゥーフィニッシュとなりました。

ジョセフ・オブライエン調教師は、騎手としても天才ジョッキーとして名を馳せ、ライアン・ムーア騎手と名門オブライエン厩舎の二本柱として大活躍しました。しかし180センチを超える長身で減量に苦しみ、昨季20歳代前半の若さで鞭を置いて、調教師に転身しました。生まれた時から馬に囲まれて育ったこの青年は、血の一滴一滴、細胞の一片一片にまでホースマンのDNAが組み込まれているのでしょうか?開業初年度からG1レースを制覇し、この日もまた世界にその名を轟かせました。父エイダンも今季はG1年間27勝の世界記録を樹立し、ヨーロッパのシーズン終了後もさらに貪欲に積み上げを狙って先週アメリカで行われたブリーダーズカップ、オーストリア、そしてジャパンCや香港国際競走にも満々の出走意欲を見せています。

オブライエン親子の尽きることのないチャレンジ精神には舌を巻くばかりですが、メルボルンCで3着に食い込んだ7歳セン馬マックスダイナマイトにもビックリさせられました。一昨年も2着に突っ込んで波乱の立役者になりましたが、まさに老兵は死なず!ですね。日本で走っていたグレイトジャーニーがフランスで種付けして生まれたサラブレッドです。父はキタサンブラックの父ブラックタイドと同期生で、シンザン記念やダービー卿チャレンジトロフィーを勝ったマイラーでした。クラシックは距離に苦しんだ馬でした。マックスの母父がスタミナ豊かなドイツ血統モンズーンであるのを加味しても、これだけのマラソンランナーを輩出するとは想像もできませんでした。育つ環境とか施される調教などで馬は変わってくるものなのでしょうか?今年も教えられることの多かったメルボルンCです。

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