きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

Cawaiiも、ひとつの武器

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GIウィークで盛り上がる競馬界に、ちいさな、ちいさな記録……でも、しかし、本人にとっては、忘れられないだろう記録が生まれました。
10月14日 新潟競馬3R 3歳上500万下
1着 トップライセンス
馬主 サンデーレーシング
生産者 ノーザンファーム
調教師 尾関知人
手綱をとったのは……昨年デビューしたJRAの紅一点、藤田菜七子騎手です。

16年ぶりにJRAに誕生した女性騎手は、根本康広調教師の粋な計らいで、昨年3月3日のひな祭りに、川崎競馬でデビュー。スポーツ紙はもちろん、ワイドショーなどでも連日、取り上げられ、藤田騎手本人が、「どうしていいのか、わからないほど戸惑いました……」と言うほどの騒ぎが巻き起こり、2人揃ってイベントに登場した武豊騎手が、「僕より、藤田騎手に向けられるカメラのほうがはるかに多い」と苦笑いするほどの人気者となりました。こうなると当然のように、賛否両論が巻き起こります。
「競馬場が華やかになった」
「ひさしぶりに人気騎手が誕生した」
笑顔を見せる人がいる一方で、
「チヤホヤされるのは最初のうちだけ」。
「競馬は男社会。女性にはちょっと……いや、かなり厳しいでしょう」。
醒めた目で見つめる人も大勢いました。

一年目、中央競馬の成績は、294回騎乗して、6勝。
数字だけ見ると、「ほら、やっぱりね」という声がアチコチから漏れてきそうです。しかし、
――依頼いただけるなら、どこにでも行きます。
という思いは、騎手としての本分を見事に貫き通し、事実、地方競馬をはじめ、イギリスのサンダウンパーク競馬場、アラブ首長国連邦のアブダビ競馬場、マカオのタイパ競馬場と、デビューしてまだ一年ちょっとの新人ジョッキーとしては、数えきれないほど貴重な体験を重ねてきました。
冒頭の記録は、その藤田騎手が、1997年、増沢由貴子(旧姓・牧原)が持つJRA年間最多勝利記録に並ぶ、11個目の白星です。
こうなると気になるのは、新たに歴史に刻まれる新記録は、いつ? 馬主は? 調教師は? どの馬で達成するのかという点です。
ちょっと……気になりますよね。

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