きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

悪夢の天皇賞

10月27日は、安達 昭夫 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

日曜日のメインレースは、第156回天皇賞(秋)。
気になる天気予報は……くもり時々雨。台風22号の動き如何で、まだ安心はできませんが、先週のように、芝に雨が浮くような泥んこ馬場は回避できそうです。
そして……ベテランのオーナーの方なら憶えておられるでしょう。26年前の今日、1991年10月27日に行われた第104回天皇賞(秋)は、1着に入線した馬が降着となるという、日本の競馬史上に汚点を残す悪夢のレースとなってしまいました。

――メジロティターンの仔で天皇賞を勝ち、親子三代による天皇賞制覇を成し遂げて欲しい。
すべては、1984年に亡くなったメジロ牧場の大オーナー、北野豊吉氏の遺言からはじまりました。そこで白羽の矢が立ったのが、デビュー5年目の武豊騎手です。見事、この期待に応え、この年の天皇賞(春)を制した武豊騎手は、「ゴールした瞬間は、嬉しさよりも、プロのジョッキーとして、大きな仕事を果たすことが出来たという安堵感のほうが大きかったですね」と当時を振り返っています。
こうして迎えた第104回天皇賞(秋)。7枠13番からスタートしたメジロマックイーンは、内側に進路を取りながら2コーナーに進入。後続に6馬身もの差をつけゴール板を駆け抜けると、そのままウイニングラン。正面スタンド前では、ガッツポーズでファンの声援に応えていました。ところが――。
15分にもおよぶ審議の結果、進路妨害があったと裁定され、GI競走史上初となる1位入線馬の降着が確定してしました。

――果たして、真実はどうだったのか!?
裁定を是とする人。異議を唱える人……喧々諤々の論争が巻き起こりましたが、処分が確定してから既に26年もの歳月が流れている今、この問題に、あれこれ、言及するのは、野暮というものでしょう。
大切なのは、当時、降着・失格の無かった審議対象のレースは公開されることのなかったパトロールビデオが、処分の有無にかかわらず、審議対象となったレースは公開されることになり、現在では、すべてのレースのパトロールビデオが視聴可能になったという事実です。
迷い。戸惑い。立ち止まり……あらゆることを糧として、みんなが望む方向に一歩ずつ進んでいく。
これこそが……競馬です。

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