きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

凱旋門賞トライアル

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今週日曜のフランス・シャンティイ競馬場では、3週間後の凱旋門賞に向けたトライアルとして古馬のフォア賞、3歳馬のニエル賞、牝馬のヴェルメイユ賞が、本番とまったく同じコース・距離で行われます。フォア賞には日本からサトノダイヤモンド、サトノノブレスが本番前の試走でシャンティイの馬場に挑みます。イギリスの名匠ジョン…ゴスデン調教師が興味深い発言をしています。「トライアルは、しばしば競輪みたいな駆け引きがある。引きつけて、引きつけて、それからスパートする」と述べています。それにしてもゴスデン師が日本生まれの競輪に詳しいのには驚かされました。彼は自厩舎のクラックスマンが出走を予定しているニエル賞について語っているのですが、本質的にはフォア賞も同じでしょう。競馬風に言い直せば「上がりの競馬」でしょうか?最近ではオルフェーヴルが連覇、古くはエルコンドルパサー。同条件のニエル賞をマカヒキ、キズナが勝つなど、上がりの競馬に慣れた日本馬がこれらのレースに強いのが分かるような気がします。

今のところ19頭が登録していて最終締め切りが明日ですから、出走を明言しているダイヤモンドとノブレス以外の確定メンバーが良く分からないのですが、例年通り少頭数になるんでしょうね。イギリスの強豪ハイランドリールは前日の愛チャンピオンSに回るんでしょうか?出てくれば地元勢のザラクが強敵になりそうです。世紀の名牝ザルカヴァの息子で前走サンクルー大賞で遂に待望のG1を制覇して波に乗っています。超良血馬の本格化とあれば目が離せません。同じ地元勢のクロスオブスターズは春先にG3、G2、G1ガネー賞とホップステップジャンプを決めた究極の上がり馬。凱旋門賞7勝の名伯楽アンドレ・ファーブル師は、この秘蔵っ子に夏休みを与えて本番に備えました。本番前の一叩きでここは使っておきたいところでしょう。ドイツでG1ベルリン大賞を勝って来たジンギスシークレットも2400mは大好きで力試しの一番に全力投球でしょうか?

サトノダイヤモンドの鞍上は故郷に錦を飾るルメール騎手。フランス育ちの彼にとってシャンティイは自分の庭も同然です。フォア賞も05年のプライド、11年のサラフィナで2勝しており、トライアル特有の丁々発止の駆け引きも知り尽くしています。世界の名手が一堂に会する桧舞台ですが、一歩もヒケを取らないはずです。人馬ともに、そしてオルフェーヴルで悔しい思いを2度も噛み締めた池江泰寿調教師ともごも初の凱旋門賞制覇に向けて最高のスタートをきってもらいものです。

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