きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらっしゃいませ。

これから世界の競馬がどう動いて行くのか?向こう10年くらいのスパンで考えてみたいと思います。変化の中心にいるのはカタールです。ヨーロッパでもアメリカでもありません。昨年、ジョアン殿下が仏オークス馬トレヴを10億円で購入、凱旋門賞を勝たせて世界を驚かせたのは記憶に新しいです。

もともとは凱旋門賞や英チャンピオンズシリーズなど世界トップクラスのレースのスポンサーとして有名でした。ビッグレースのブランド価値を高めることでカタールの国や企業のイメージを上げようという戦略です。ところが今度はスポンサーで終わらずプレイヤーとして世界の競馬産業に参入を果たそうと方向に舵を切りました。

お国柄から純血アラブの保護育成に熱心でサラブレッドの歴史はまだ浅い国です。しかし昨年、国のリーダーに就任したタミム首長の弟ジョアン殿下、甥のファハド殿下を中心に潤沢なオイルマネーを武器にセリ市場で大暴れしています。もはや世界有数のオーナーと言って良いでしょうね。

カタール競馬自身も急速にレベルアップしています。昨年の同国年度代表馬ヴェリーナイスネームはドバイシーマクラシックで2着ジェンティルドンナから1.25馬身差の3着に健闘して目を見張らさせました。ファハド殿下がまだ重賞未勝利だったドゥーナデンを購入、メルボルンC、香港ヴァーズを連勝したのは一昨年です。カタールホースによる国際G1初勝利でした。フォア賞ではオルフェーヴルの2着したのもこの馬です。返す刀でジャパンCにやって来てステイヤーゆえ甘く見られていたのですが、直線、素晴らしい脚で小差の5着に突っ込んだには驚かされました。トップクラスのカタールホースと日本との差はぐんぐん縮まってきている印象が深いです。

なぜこんな急成長が可能なのか?オイルマネーの賜物というだけの話ではないでしょう。来週はこの辺りを考察してみたいと思います。

×