きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ドーヴィルの衝撃

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真夏に1カ月にわたってドーヴィルを舞台に開催されるリゾート競馬も、先週末はG1ジャックルマロワ賞を迎え、盛り上がりもいよいよ最高潮に達しました。今年はやや小粒なメンバーで6頭立ての少頭数となりましたが、名門アンドレ・ファーブル厩舎の貴公子アルウケアが人気に応えて短頭+短首の接戦を制しました。2着に僚馬インズオブコートが入り、ファーブル厩舎のワンツー決着です。逃げたサンダースノーはUAEダービーで日本のエピカリスと首の上げ下げの勝負をもぎ取ったお馴染みの馬ですが、今回は3着に惜敗しています。

昨日のドーヴィルは、G3ゴントービロン賞に昨年のヨーロッパ最強馬アルマンゾルが久々に姿を見せるとあって、G1レース以上にも劣らない熱気に包まれました。所属するジャン・クロード・ルジェ厩舎が感染症騒動に巻き込まれ、ここまで10カ月近く調整が遅れ、やっと復帰を果たしたものです。昨年は仏ダービー、アイルランドとイギリスのチャンピオンSを完勝して、2000m路線では敵なしの状態でしたが、今年の目標はもちろん2400mの凱旋門賞です。ゴントービロン賞はG3とはいえ、のちにガリレオやシーザスターズの母となるアーバンシーは、このレースから凱旋門賞に直行してホワイトマズルやオペラハウスを倒して表彰台の真ん中に登っています。縁起の良いレースです。

ところがアルマンゾル、出遅れはいつものこととして、道中は追えど促せどまったく動けず、6頭立ての5着同着と実質ビリの惨敗を喫します。ダート最強馬アロゲートのデルマーでの敗戦もショックでしたが、アルマンゾルのそれも大方のファンには想像もできないものでした。これで凱旋門賞は、一天にわかにかき曇り暗雲が漂い始めました。2400mレースを圧勝続きで3連勝している3歳牝馬エネイブルで断然のムードに染め上げられるのでしょうが、日本から遠征するサトノダイヤモンドにもチャンスが回ってきそうです。本番まで1カ月半を切って、いよいよ決戦の時が迫ってきました。

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