きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

なるか、秋古馬三冠

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昨日、キタサンブラックの秋のローテーションが発表されました。10月の天皇賞(秋)から始動し、11月のジャパンカップ、年末の有馬記念の「秋古馬三冠」の道を歩むようです。

秋古馬三冠は正式名称ではないものの、2000年から同一年に天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念の3競走を制覇した場合にボーナスが贈られることとなったことからそう呼ばれるようになり、これまで達成できた馬は開始初年のテイエムオペラオーと2004年のゼンノロブロイ、このわずか2頭のみです。
秋の古馬G1の勝ち馬にいずれもその名が刻まれているからか、テイエムオペラオーにゼンノロブロイ、秋古馬三冠を達成したいずれのレースも印象深く記憶に刻まれています。

それまで1番人気馬にことごとく目に見えぬジンクスを与えてきた府中の魔物を、あっさりと撃破した天皇賞(秋)。世界中の競馬場をまるで自分の庭のように駆け巡ってきたファンタスティックライトとの激闘となったジャパンカップ。ライバルの包囲網で絶望的と言われた位置から涼しげな顔で中山の坂を突き抜けてきた有馬記念。テイエムオペラオーの秋三冠ロードは、個性に実力も兼ね備えていたひとつ上の世代との評価をめぐる闘いでもありました。
ゼンノロブロイが駆け抜けた2004年の秋三冠ロードは、まさに快進撃をつづける英雄のごとくでした。それまで素質を持ちながらG1を勝ちきれずに善戦マンと呼ばれていたゼンノロブロイは、京都大賞典2着から天皇賞(秋)へと出走。ひとつ下の世代のキングカメハメハが引退したことで、押し出されるような形で1番人気でしたがまるで眠れる英雄が覚醒したかのごとくG1を初制覇。日本の総大将にふさわしいレース内容でジャパンカップを勝ち、有馬記念ではタップダンスシチーとの両馬ならんだ激闘がスタートからゴールまでつづいた末のレコードタイムでの秋古馬三冠達成となりました。

春のレースでは大阪杯に天皇賞(春)と春古馬三冠に王手をかけていたキタサンブラックでしたが、宝塚記念で9着に大敗。凱旋門賞を断念し、現在秋へ向けて休養中となっています。G1レースの消耗度が年々高まり、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念と3つ制覇するのはますます難しくなっていることでしょう。秋古馬三冠への挑戦によって、国内の秋のレースはキタサンブラックを中心に話題が巡っていくことになりそうです。

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