きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

真夏のストーブリーグ

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香港競馬は今週日曜日のシャティン開催で2016年/17年シーズンを終え、束の間の夏休みに入ります。しかしホースマンたちは、夏休みだからとノンビリしている暇はありません。13季連続でリーディングジョッキーの座に君臨した香港の帝王ダグラス・ホワイト騎手は短期免許で日本にやって来ます。その彼からリーディングの座を奪い獲ったジョアン・モレイラ騎手は昨年も札幌で武豊騎手の記録に並ぶ騎乗機会7連勝を達成するなど日本大好きで、今年も来日を熱望していることでしょう。今季は最終日を残してここまで169勝と自身が持つシーズン最多勝利記録を更新するなど、相変わらずのマジックマンぶりを見せています。

調教師や馬主も忙しい時期を過ごします。日本ではセレクトセールが終わったばかりですが、馬産なき競馬大国・香港は、この時期に真夏のストーブリーグを迎え、ヨーロッパやオーストラリアから即戦力となる現役馬を中心にトレードして、来るべき新シーズンに備えなければならないからです。今年も既にイギリスからフランケル産駒2頭の移籍が決まっています。セネターとセブンヘヴンズがその馬で、ともにデビュー2連勝を飾った快速馬です。セネターは大柄で気性に難を抱え2歳シーズンが終わって去勢し、新天地で素質開花を誓っています。セブンヘヴンズも重賞出走歴のある馬で、キャリア的にも大きな成長を見せて不思議はありません。何よりファンにも人気の高いフランケル産駒の参加は、香港競馬の盛り上げに大きく貢献してくれそうで期待は膨らむばかりです。

大物と言って良いのがリヴェットです。エリザベス女王のメインステーブルの一つウィリアム・ハッガス厩舎に所属していたファストネットロック産駒で、レーシングポストトロフィを勝っているG1馬、仏2000ギニーに遠征して3着に健闘するなどヨーロッパでも一線級の実力の持ち主です。全兄ブーミングデライトの移籍先の名門ジョン・ムーア厩舎に入るようです。ムーア師はリーディングトレーナーの常連ですが、今季はエイブルフレンドやデザインズオンロームなど世界に名の聞こえたエース格の名馬を引退させたばかりで、新戦力リヴェットにかける期待は大きなものがあります。暮れの香港国際競走シリーズでは日本馬の強敵になりそうです。

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