きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

欧州クラシック大詰めへ

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日本で走ったシンコウエルメスの孫娘で母親同士が姉妹という従兄の皐月賞馬ディーマジェスティに続いてソウベツがG1サンタラリ賞を完勝し、重度の骨折で競走馬としては不運だった祖母に二つ目の勲章をプレゼントしたという話題を昨日お届けしました。エルメスを死の淵から救って牧場へ送り返した藤沢和雄調教師もトレーナー冥利に尽きる瞬間でした。1ヶ月後にシャンティイで行われる仏オークスの有力馬に名乗りを上げたことになります。フランスのオークス&ダービーは2400mの他国と差別化されて中距離馬にも門戸を開く2100mで施行されます。従って素質馬を多く抱える有力厩舎は英愛オークスと仏オークスを馬の距離適性に合わせて使い分ける傾向が強いのも特徴です。調教師の腕の見せどころと言えそうです。

イギリスの名伯楽ジョン・ゴスデン調教師もそんな一人です。2年前の英ダービーでは後に凱旋門賞を勝つゴールデンホルンと今年になってドバイシーマクラシックで復活したジャックホブスでワンツーを決めていますが、今春のオークス路線では慎重で、有力馬2頭をエプソムとシャンティイに振り分ける戦略で臨むようです。昨深夜にヨークで行われたオークス前哨戦のムシドラS10ハロンを持ったままで楽勝し3戦3勝と無敗街道を走るシャッタースピードは、母系にスピード血統オアシスドリームを抱えていることから中距離の仏オークスを目指すことになりそうです。もう1頭の有力馬エネイブルはキングジョージなど2400m級に滅法強かったナサニエルの初年度産駒で、サドラーズウェルズ3X2の極端なクロスを内包させて、スタミナの塊のような馬です。馬主が同じジュドモントファームのカリド・アブデューラ殿下という背景もあって、こちらはエプソムのオークスに向かいます。

早いもので日本も今週がオークス、来週がダービーとなりますが、ヨーロッパのクラシックレースもいよいよ大詰めを迎えようとしています。今深夜は英ダービーの最重要トライアルであるG2ダンテSがヨーク競馬場10ハロンを舞台に行われます。ダービー最終便という趣きのレースですが、今年は2戦2勝のフランケル産駒クラックスマンに人気が集まっているようです。ジョン・ゴスデン厩舎、フランキー・デットーリ騎手、馬主のアンソニー・オッペンハイマーさんは、先述のダンテSからダービー&凱旋門賞馬に登り詰めたゴールデンホルンとまったく同じチームです。再度の栄光があるのでしょうか?日本のソウルスターリングが今のところ唯一のG1馬というフランケル産駒ですが、果たしてクラックスマンがヨーロッパ初のG1制覇へ向けて好発進できるのか?話題が尽きません。

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