きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

スーパーサタデー異聞【後】

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熱戦が続く前哨戦シリーズのドバイカーニバルの話題をお届けしています。競馬のことですから明暗それぞれ、悲喜こもごものドラマが展開されるのですが、明の話題を昨日お伝えした新興勢力韓国調教馬の目を見張る躍進ぶりとすれば、暗のトピックスはスーパーサタデーの一方の目玉G2ドバイシティオブゴールドで強豪ポストポンドが思いがけない敗戦を喫したことでしょうか。彼は去年もこのレースに参戦して3馬身突き放す楽勝を演じています。相手はドバイ帰りにガネー賞を勝ち、イスパーン賞でエイシンヒカリの2着に踏ん張ったスミヨン騎乗の一流馬ダリヤンでした。今年敗れたプライズマネーは2400m級のレースを重点的に使われ、今年初めからメイダンに腰を落ち着け力をつけてきた上がり馬ですが、ダリヤンとの比較では格下感は否めず、正直言ってポストポンドが負ける相手とは思えません。まぁ今年は周り中ゴドフィングループの馬だらけという背景もありました。ポストポンドはモハメド殿下の従兄弟オバイド殿下の所有馬でプライズマネーを含めて上位馬はゴドルフィンの勝負服、まぁ身内みたいなものですから、トライアルらしいレースをしたとも想像できます。

昨年は転厩騒動の直後でここが移籍緒戦、新トレーナーのロジャー・ヴァリアン師には負けられない一戦でした。見事にそこをクリアして、続く本番のシーマクラシックもゴドルフィンの総大将らしく日本のドゥラメンテやラストインパクトを封じ込んで完勝、帰欧しても勢いに陰りはなく、コロネーションC、インターナショナルSとG1を連勝して凱旋門賞の大本命に祭り上げられます。しかし結果はご承知の通り、オブライエン勢のワントゥースリー決着で5着と精彩を欠きました。シーズン当初から緊張の糸を張り詰めで、最後の最後でさすがに疲れが出たのでしょうか?この敗戦はゴドルフィンにとって二重のショックでした。一つには馬主として宿命のライバルとも言えるクールモア勢に圧倒されてしまったこと、もう一つはエース種牡馬であるドバウィの旗手ポストポンドが、クールモアの至宝ガリレオ産駒たちに蹴散らされたことです。

シーズン前半はポストポンドの獅子奮迅の活躍も貢献して、ガリレオをリードしていたドバウィでしたが、終わってみれば獲得賞金でダブルスコアをつけられるリーディング2位、G1勝利数でもガリレオ24勝に対して7勝と大きく水を開けられてしまいました。名馬ドバイミレニアムが遺したたった一頭の後継馬ドバウィの血を後世まで伝えていくことはゴドルフィン=ダーレーグループの至上の最重要ミッションです。ポストポンドは後継馬としては無論、この宝物のような血統の価値を世に知らしめる伝道師としての役割も担っています。今年は日本でもドバウィ直系のモンテロッソの初年度産駒がデビューし、マクフィも種付けを始めています。伝道師ポストポンドはシーズン後半の凱旋門賞などビッグレースを勝べく、スタミナを温存して今年はスロースタートしたのでしょうか?もちろんドバイワールドCデーの勝利はゴドルフィン馬の至上命題ですから、日本でも馬券発売されるシーマクラシック本番で、華麗な変身を遂げる期待が9割、ちょっぴりの不安が1割というところでしょうか。

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