きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

スーパーサタデー異聞【前】

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後20日足らずに迫ったドバイワールドCデー、足掛け3ヶ月に渡るロングラン前哨戦シリーズの最大の山場スーパーサタデーが終わりました。日本の期待を集めたG1アルマクトゥームチャレンジラウンド3のラニは、残念ながら大外枠から出遅れて、まったく競馬になりませんでした。先行有利な馬場コンディションで強烈なキックバックのパンチを浴びる追い込み勢には厳しい状況だったのですが、やはり馬場を知り尽くしたゴドルフィン勢のロングリヴァーが逃げ切り、ラニは彼から16馬身も離された6着でした。それにしても海外ダートホースのインパクトは予想以上でした。まだレベル差があるというか、国の威信をかけて最強馬かつ好調馬を送り込む姿勢そのものが違うのかも?と漠然としていますが強く印象に残りました。

そんな中で驚くべき躍進を遂げたのが韓国調教馬です。昨年、パート2国に昇格して意気上がる韓国競馬ですが、メインステイという馬が一般戦でしたがダート1200mのレースで 遂に国際レースで悲願の初勝利を成し遂げました。韓国人ホースマンにとっては、日本人にとってのヴィクトワールピサのワールドC制覇にも匹敵する快挙と感じられたに違いありません。韓国は今回、メインステイもそうですが、昨年の年度代表馬のトリプルナイン、三冠馬のパワーブレイドなど最強クラスの馬を前哨戦カーニバルの開幕時から送り込んでいました。ダート競馬に特化している特殊事情もあっての選考だったのでしょうが、最高の馬を送り込む姿勢には共感させられます。そしてパワーブレイドはG2アルマクトゥームチャレンジラウンド2で3着に食い込む健闘を見せファンを狂喜させました。トリプルナインもラニと同じレースを走り、ラニに6馬身半の差をつけて5着でゴールインしています。想像を超える頑張りでした。

思えば昨年夏に韓国初の国際招待レース・コリアCが開催され、クリソライトとクリノスターオーの日本馬ワントゥーで幕を閉じたのですが、その両馬から10馬身もちぎられた3着がトリプルナイン、4着がパワーブレイドでした。日本馬に追いつくのは百年仕事と韓国のファンは嘆息したものです。ところがあれから半年余り、この急成長ぶりには目を見張る思いです。日本馬の壁はまだまだ高いのでしょうが、こうした馬を強くする理想と情熱が失われない限り、いつかコリアCや日本のチャンピオンズCで韓国の旗がはためく日が来ないとも限りません。そんなことをフト考えさせられたスーパーサタデーでした。

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