きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歴史的女傑ウィンクス

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オーストラリアで開かれるG1目白押しの祭典ザチャンピオンシップスに日本馬が大挙して登録を済ませた話題を追っています。3月下旬から4月上旬の開催ですから、時期的にドバイや日本でも高松宮記念、大阪杯といったG1レースとモロ被りします。果たして最終的にどれだけの馬がゲートインするのか半信半疑でもありますが、日本の上級馬たちに海外各地も含めて選択肢が豊富になってきているのは素晴らしいことだと思います。昔は水盃を交わして決死の覚悟で出かけたと聞きます。今は普段の東西交流とあまり変わらない感覚で気軽にフライトしていきます。もちろん先達の努力や苦労の積み重ねの賜物なのですが、良い時代になったものだとつくづく思います。

登録馬にディープインパクト産駒の姿が目立つのも今回の特徴です。リアルインパクトの成功が大きく影響しているのでしょうか?彼は現役時にオーストラリア遠征でG1ジョージライダーSに勝ち、今回も行われるG1ドンカスターマイルで2着した実績が評価され、昨年からオーストラリアにシャトルされ、日本での倍以上の種付け料で134頭もの牝馬を集めました。向こうでディープの評判が凄いのに対して、母国では優秀なディープ産駒が続々と種牡馬デビューして競争は激しくなる一方です。ここで一花咲かせてオーストラリアからの種牡馬オファーに期待するのも一つの生き方でしょう。世界にディープの血を広める意味でも頑張ってくれると嬉しいのですが。

しかし強敵が待っているのも確かです。目下13連勝中と無敵の快進撃を続けているウィンクスという牝馬がその筆頭です。彼女は夏の間は休養して、秋を迎える2月か3月にはカムバック、ザチャンピオンシップスに照準を合わせているようです。何しろ彼女はマイルでも強いが、2000m級はもっと強いカテゴリーの壁を越えた女傑です。日本で言えば天皇賞秋に相当するビッグG1コックスプレート2040mで、一昨年は強豪ハイランドリールなどを一蹴して世界を驚かせ、昨年はメルボルンCで1番人気になったハートネルを8馬身千切り捨てて連覇を果たしています。レーティングの130ポンドは芝の世界一です。ちなみに今世紀になって130ポンド評価を受けた牝馬は、G1を14勝したマイルの女帝ゴルディコヴァ、25戦25勝の快速娘ブラックキャビア、凱旋門賞連覇のトレヴだけです。歴史的名牝の座に列せられたと言えるでしょう。でもこれだけの馬を倒したとなれば、世界中から拍手喝采されるのは間違いありません。チャンスでもあります。出かけるからには名勝負を見せてほしいものだと声援を送りましょう。

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