きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

価値ビジネスとマネーゲーム (1)

ようこそいらっしゃいませ。

ファンとして馬券を通して感動や興奮を経験する、馬主として愛馬を通じて競馬の奥深い醍醐味を堪能する、競馬には十人十色さまざまな関わり方がありますが、その究極には愛馬の競走馬価値を高め、種牡馬・繁殖牝馬価値を上げ、さらに産駒たちの市場価値を上げていく価値の連鎖によるビジネスという高峰もそびえています。その一端を垣間見るのも楽しみの一つなのですが、競馬の世界はどこまで行っても奥が知れないものです。

今月末にドバイワールドカップCをしのぐ世界最高賞金を謳い文句としたペガサスワールドCが行われます。アメリカ有数のオーナーブリーダーであり、開催地となるガルフストリームパーク競馬場やサンタアニタ競馬場などを所有経営するストロナックグループの発想による非常にユニークなレースです。というのも賞金は出走枠12頭がそれぞれ100万ドルという目の玉が飛び出るような登録料の総計1200万ドルから賄われ、優勝馬にはドバイの600万ドルを軽く超える700万ドル≒7億9000万円が贈られます。その昔、王侯貴族がステークスマネーを支払い自慢の愛馬を競走させた競馬の原点を思い起こさせるようなストーリーです。出走馬にはテレビ放映などのメディア権料、馬券売上などの一定割合が支払われると言いますから、ちょっとマネーゲーム的な色彩を帯びているのも確かです。

この出走権は発売されるや瞬時に売り切れたと言いますから、ちょっと庶民感覚からほど遠いお話になります。購入者はストロナック氏ご本人を始めクールモアなどの名だたるホースマンが名を連ねていますが、中には出走させるべき馬を持たない、つまり馬主でない人物も含まれているそうで、ますます投機目的のマネーゲーム感覚が色濃く漂ってきます。出走枠は譲渡や売買が認められていますから、レースの価値が高まれば、100万ドルを超える相場が形成される仕組みです。昨年のケンタッキーダービー馬ナイクィストのオーナーは、ナイクィストの引退を受けて200万ドルなら売っても良いとしています。果たしてこのドリームの行方はどうなるのか?引き続きリサーチを進めたいと思います。

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