きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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22日に2014年度のJRA顕彰馬の選定が行われ、国内G1 2勝海外G1 1勝のエルコンドルパサーが選ばれました。記者たちの投票により選出され、投票数の4分の3以上の得票がなければ顕彰馬として選定されないため、顕彰馬が選ばれない年もあります。実質、平成24・25年は該当馬が出ませんでした。

今回選定されたエルコンドルパサーは、国内でNHKマイルカップ・ジャパンカップを勝った翌年、世界最高峰レースの凱旋門賞に挑みました。1969年スピードシンボリの挑戦から始まった世界の頂点を目指す戦いは72年のメジロムサシ、86年のシリウスシンボリと挑戦が続きますが、世界の壁は厚く、力の差を感じさせられました。シリウスシンボリの挑戦から13年後、99年にエルコンドルパサーが世界の強豪たちに日本調教馬の能力を見せつけます。

この年の凱旋門賞には、当時のヨーロッパ3歳最強馬のモンジューや古馬チャンピオンのデイラミらが出走し、更に当日のロンシャン競馬場は史上類をみないほどの水分を含んだ不良馬場でした。エルコンドルパサーにとって不利な条件が揃う中、それらを物ともせず世界のトップホースたちと同格以上のレースをしたのです。

3歳馬のモンジューに半馬身差で敗れたとはいえ、初めて日本馬による世界の頂きが垣間見えた瞬間でした。種牡馬としては3世代しか産駒を残せませんでしたが、ヴァーミリアンやソングオブウインド、アロンダイトらG1ホースを輩出しました。今年2月、中央では最後の直仔であったトウカイトリックが登録を抹消したため、全ての産駒が中央から消えましたが、その血脈は母父として流れ、重賞3勝のアイムユアーズやフラワーC優勝馬のオメガハートランドらに受けつがれています。今後は、その血を受け継いだ孫世代が競馬界を賑わせてくれることでしょう。

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