きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

東京大賞典の価値

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いよいよ年の瀬も押し詰まり、今日は今年最後のビッグレース東京大賞典が行われます。日本競馬の千秋楽を飾る結びの一番、大井ダート2000mの頂上決戦は、ご承知のように交流重賞で唯一、国際G1に認定されている格式の高い特別なレースとなっています。優勝賞金8000万円も交流重賞では夏の大一番・帝王賞などの6000万円と比較しても破格です。国際G1というからには、世界各国から強豪が参戦しレベルの高い競馬を披露することが格式の高さの前提条件なのですが、なかなかそうはならない諸事情も山積しているようです。

そもそもダートの頂上戦はヨーロッパの芝競馬がシーズンオフに入る11月のブリーダーズCシリーズから3月末のドバイワールドCデイをフィナーレに実施されています。ドバイワールドCはご存じのように総賞金1000万ドルと世界一を誇り、世界の強豪たちの出走モチベーションを高めてきました。年明け1月に予定されている新設G1ペガサスワールドCはそれ以上で、総賞金の1200万ドルに加えて、ネット馬券売上の純利益、メディア権料、スポンサー料などを出走馬で共有できるインセンティブまで準備されています。この中間に位置する東京大賞典はローテーション的にも選択される余地が少なく、日本の砂質の特殊性からダート競走としての正当性に疑問を挟む声もあり、もちろん賞金面でも比較になりません。日本のトップホースたちをなぎ倒すことに大きな意味を見出す馬主や調教師もいません。

八方塞がりですが、あえて国際G1にこだわらず日本ダート界のグランプリとしての盛り上がりをさらに強調していくのも一方法でしょう。時期的にドバイワールドC前哨戦として日本代表選考レースとする手もあります。まぁドバイは招待レースですから、こちらで勝手に代表を決めるというのも変な話なのですが。一方ペガサスワールドGはある意味リスクも伴った非常にチャレンジングな試みですから、成功するかどうかは年を経て見ないと分かりませんが、現在の賞金に100万ドルと超高額のペガサスワールドC出走権を加えて、アジア代表決定選手権とするプランもありでしょう。ダートに特化している韓国の馬たちには大きな励みになりそうです。いずれにしろ、現在の馬券売上に胡座をかくのではなく、世界の厳しい競争に太刀打ちしていくチャレンジが求められているのかもしれません。

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