きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港電撃王決戦

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昨日ご紹介した香港ヴァーズ2400mは、ヨーロッパ勢を中心とした遠征馬の層が厚く地元香港勢はG1昇格以降1勝16敗と苦戦が続いています。でも1200mの香港スプリントなら話は別。G1昇格後の14年間で南アフリカのジェイジェイザジェットプレーンと日本の怪物ロードカナロアに二度負けた以外は11勝3敗と圧倒しています。カナロア以外の日本馬はチャンピオンクラスが出かけても、まったく歯が立っていません。さすがはオーストラリアに肉薄するスプリント王国だけあって、この距離はお家芸の領域です。今回も狙いは無論のこと金メダルでしょう。

ただ一頃のように、デビュー17連勝を続ける中で香港スプリントを連覇、距離を延ばしたチャンピオンズマイル2着、安田記念3着で連勝は途切れましたが、適距離に戻したスプリンターズSでは名刀の切れ味デュランダルの追い込みを完封したサイレントウィットネスのような絶対的な存在が見当たりません。高松宮記念を勝ったこともある一昨年の覇者エアロヴェロシティ、逃げ脚という飛び道具を秘めている昨年の覇者ペニフォビアの復調に注目しますが、トライアル2着でもいかにもトライアルらしく直線だけの競馬で余裕を残したラッキーバブルズの上積みがメダル一番手でしょうか。トライアル勝ちのノットリッスントゥミーは単勝43倍の大穴での勝利。二匹目のドジョウはいるのでしょうか?

海外勢もG1ホースを送り込んできました。イギリスのプロフィタブルはG3、G2、そしてG1キングズスタンドSと三段跳びの離れ技。ただインヴィンシブルスピリット産駒らしい瞬発力も5Fが限度で距離の壁をどう克服するのか?フランスのサインズオブブレッシングもインヴィンシブルスピリットの血ですが、こちらはG1初挑戦のダイヤモンドジュビリーSを3着に健闘。2着が香港から遠征したゴールドファンで短頭の差でした。ゴールドファンは香港一流馬の一角を占め、その比較からも好勝負が期待できます。ともにドーヴィルのG1モーリスドギース賞1300mに駒を進めましたが、サインズはG1初制覇、ゴールドは競走中止で予後不良と明暗を分けました。王国オーストラリアからは7歳にして本格化したレベルデインが上級G1マニカトSを手土産に参戦します。アメリカ代表のピュアセンセーションはBCスプリントターフの3着馬ですが、この相手にどこまで戦えるか?

さて日本からは高松宮記念のビッグアーサー、スプリンターズSのレッドファルクスと春秋のチャンピオンが乗り込みます。アーサーは母の父としてジャパンC快勝のキタサンブラックで世界に名を売ったサクラバクシンオーの残り少ない一流産駒です。長距離、短距離双方でG1の栄誉を父驀進王に捧げられたら快挙なのですが。ファルクスは芝もダートも同じように能力を発揮できる二刀流スプリンターとして名を上げました。まだ底らしい底を見せていない当代随一の上がり馬が大仕事を成し遂げてくれないものでしょうか?来週は、ロゴタイプなどが挑戦する香港マイル、モーリス、エイシンヒカリが年度代表馬の座をかけて激突する香港Cの展望を中心にお届けします。

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