きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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トレヴのクリスティーヌ・ヘッド・マーレック調教師が来週のロイヤルアスコット・プリンスオブウェールズSで負けたら、凱旋門賞出走は自重するかもとショッキングな発言をしています。前走はガネー賞で古豪シリュスデゼーグルに完敗を喫しています。シリュスの得意距離で小柄なトレヴに対し欧州屈指の道悪の鬼、お誂え向きにシリュスが勝つ条件が揃っていたとも言えます。しかしマーレック師はそんなことはおくびにも出さず、前走で負けたことが調教師である自分にもトレヴにも許せない。だから、今度負けたらと強い決意をにじませます。

世の中には凱旋門賞に勝つより大切なことがあると聞こえます。それは打ち砕かれたプライドを取り戻すことなんでしょうね。トレヴはここから牝馬限定のヴェルメイユ賞経由で凱旋門賞へ、ところがせん馬のシリュスは凱旋門賞の出走資格がありません。ロイヤルアスコットがラストリベンジの舞台になるわけです。(キングジョージで三度目の対決という選択肢も残っていますが)マーレック師は二度続けてシリュスに負けて、彼のいない凱旋門賞を勝つことに意味がないと考えるとしたら、人間として羨ましくなるほど潔い決断ですね。

ちなみにシュリスのコリーヌ・バランド=バルブ師も女性調教師。『最良馬は最良馬と戦うべき』と門戸開放を求めています。シリュスデゼーグルが過去数年間に渡ってヨーロッパの最良馬もしくは最良馬の一頭であり続けたのは間違いありません。最良馬同士のプライドをかけた今年のロイヤルアスコット。ぜひ、ご注目を。

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