きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

女王への新たな道標

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今週よりいよいよ秋競馬のスタート。中山競馬が開幕します。開幕を告げる重賞レースは、今年から紫苑ステークスがその役割を担うことになりました。紫苑ステークスは秋華賞トライアルとして2000年に創設されたレースで、長らくオープン特別として行われてきましたが、今年からG3に格上げ。秋華賞の優先出走権もこれまでの2着以内から3着以内に拡大されました。秋華賞へのステップレースは、この紫苑ステークスとローズステークスの2競走ですから、西からの参戦もあるものの実質東の秋華賞代表馬決定戦といった趣きも強いレースです。

されどその後の秋華賞を見ると上位馬はローズステークス組が独占状態で、紫苑ステークスを勝ち上がった馬が3歳牝馬の頂点に割って入ることができずにいました。2014年にショウナンパンドラがその壁を破ったものの、翌年はローズステークス組のワンツー。紫苑ステークスから秋華賞へと向かったクインズミラーグロにホワイトエレガンスは9、11着の結果でした。秋華賞でローズステークス組が強いのは、それだけローズステークスに実力馬が集中しているからで、重賞を勝ち上がっている牝馬が秋華賞を前に前哨戦を使うとすれば、かつて秋の中山で行われいまは札幌に移ったクイーンステークスかローズステークスくらいに限られますから、ローズステークスに実力馬が集中するのもやむなしの状況だったといえるでしょう。

今年から新たに紫苑ステークスがG3に格上げされ、前哨戦の選択肢が増えました。実力馬がローズステークスに一極集中するような流れから、紫苑ステークス、ローズステークスに分散されていけば、これまでのようにローズステークスで秋華賞の結末まで見えてしまうような流れから一転、本番では東と西の前哨戦プラス夏の札幌に夏の上がり馬が激突と、前哨戦によって競馬の楽しみが増していくような流れができるではと期待しています。

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