きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

始まったアメリカンドリームへの道

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もう2カ月足らずで競馬超大国USA最大の祭典=ブリーダーズカップを迎えます。この時期になると前哨戦もいよいよ本格化、先週はドバイワールドCの覇者でダート分野レーティング世界一のカリフォルニアクロームと男勝りの牝馬No. 1ビホルダーがいきなり激突するG1パシフィッククラシックが行われました。結果から言えば、カリフォルニアクロームが先手を取ってそのまま逃げ切り、ビホルダー以下に5馬身と決定的な差をつけて圧勝しています。王者の強さには恐れ入るばかりで、これでBC制圧に王手をかけたのは間違いがないのですが、“鉄板”とも言い切れないBC特有の難しさもあります。

良く知られているように、シーズン開幕の最初の山場・春季5週間に集中して行われるアメリカ三冠レースは、生き残りをかけた過酷なサバイバル戦です。三冠すべてを勝ち抜くことは至難で、それ以前に皆勤するのも並み大抵ではありません。実際に今年、三冠すべてに出走したのは、日本のラニとエグザジェレーターのたった2頭だけ。ラニは尻上がりに着順を上げて最終戦ベルモントSは3着に大健闘したのですが、ケンタッキーダービー2着、プリークネスS優勝のエグザジェレーターはベルモントSを大敗して有終の美は飾れませんでした。ラニも偉かったのですが、クラシックで勝ち負けのレースをする負荷の大きさを改めて知らされる思いです。

ブリーダーズカップはシーズンファイナル、後のない一発勝負の大一番。三冠レースとは自ずと趣きも違って、いかに余裕を残してこの勝負に臨むかが勝負の分かれ目になります。前哨戦を圧倒してきた馬が本番では苦戦する図も珍しくありません。誤解を恐れず言えば、前哨戦を調教代わりと割り切れるクールな馬が強いレースです。パシフィッククラシックのカリフォルニアクロームの強さに疑いは挟めませんが、目立たぬ裏街道で思わぬ伏兵が牙を研いでいるという気がしないでもありません。さて、今年はどうなる?ブリーダーズカップへ向けての各馬の動向をできる限り詳細に追っていきたいと思います。

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