きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2016.8.18

古馬勢の大逆襲

ようこそいらっしゃいまえせ。

今季のヨーロッパは3歳馬の勢いが圧倒的だとお話ししたばかりなのですが、昨夜ヨーク競馬場で行われた夏の大一番G1インターナショナルSは、挑戦した2頭の3歳馬ホークビルは8着、ウイングスオブデザィアは9着とまったく見せ場なく敗れ、大本命ポストポンドが堂々の貫禄勝ち、2着もポストポンド不在だったキングジョージを逃げ切ってチャンピオンクラスの一角にのし上がったハイランドリールが食い込んで古馬勢の一方的勝利に終わりました。

レースは先行したハイランドリールとポストポンドが終始流れを支配し、最後は大本命馬が底力でねじ伏せるように1馬身4分の1出たところがゴールでした。事実上のマッチレースでした。パーフェクトとも思えるレースぶりにポストポンドのオーナーであるオバイド殿下は『我々に“エクスキューズ”という言葉はない』と胸を張ったものです。モハメド殿下の従兄弟筋にあたるドバイ王室の一員で、過去に英ダービーオーナーの栄光に浴したこともある方です。馬の状態が万全でなければ使わないのが、殿下やロジャー・ヴァリアン調教師の一貫したポリシーのようです。実際、昨年はキングジョージからトライアルのフォア賞を完勝しながら、本番の凱旋門賞は直前に回避し、今季も連覇のかかったキングジョージをスルーしています。レースに出すのも、それを回避するのも勇気がいるものです。馬の強さ、馬体・血統の素晴らしさは無論ですが、馬主の品格や思想の在り方までもが問われる競馬という伝統スポーツならではのホースマンシップだと思わされます。

凱旋門賞一番手に躍り出たポストポンドは、これまで2400m級のビッグレースでは無双の強さを誇っていたのですが、2000m級のチャンピオンシップシリーズでは初めての勝利です。マイル王モーリスが今週の札幌記念にチャレンジするのと同じで、このカテゴリーには世界共通の高い価値があります。この後、9月中旬に行われる、やはり2000m級の愛チャンピオンSにも登録されており、ポストポンドの価値を比類なく高めるには、ここを勝って凱旋門賞というのが、ホースマン・オバイド殿下の理想でしょうか?