きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

フランケルの日本適性

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海の向こうでは、大げさに言えば寝ても覚めてもフランケルみたいなムードが盛り上がって、不世出のこの怪物の話題で持ちきりです。先週はキングジョージと同日に行われたアスコットのG3プリンセスマーガレットSをフェアーエヴァという牝馬が4馬身差で完勝して、偉大な父に重賞初制覇の勲章をプレゼントしました。次走はG1モイグレアスタッドSに照準を絞り込んでいるようですから、G1初制覇の朗報が届くかもしれません。フランケルの初年度産駒産駒は、ご存じのようにこれで7頭がデビューし6頭が勝ち上がり、通算で8勝をマークしました。カラスの鳴かない日はあっても、出走すればフランケル産駒が勝たない日はないというほどの強烈な無双ぶりです。

ところが日本ではデビュー第1号のライズイーグルが5着に敗れ、ファンをがっかりさせています。調教でも素晴らしい動きを披露していただけに、その先行きにちょっぴり翳りが射した印象がなくもありません。フランケルの父ガリレオ、母の父デインヒルは言わずと知れた大種牡馬なのですが、皮肉屋さんに言わせると『世界的かつ歴史的であるのは間違いがないが、ただし日本を除けば』というオチがつくのがパターン化しています。確かに両雄とも日本では実績らしい実績を残せていないのがこれまででした。

今週は世界が羨むような超良血馬ソウルスターリングがスタンバイしています。母スタセリタはデビューから無敗街道を走り仏オークス、ヴェルメイユ賞まで6連勝したほどの近年屈指の女傑です。6連勝中はクリストフ・ルメール騎手が主戦を務めており、今回のデビュー戦も彼が手綱を執るようです。トレーナーは日本の誇り藤沢和雄調教師ですから、まさに英仏日の国境を超えた超大作という趣きにあふれています。目先の1勝にこだわる必要は少しもないのですが、怪物の日本における未来にとって光明となるようなレースを見せてくれれば嬉しいのですが。

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