きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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毎週水曜と木曜は海外競馬の話題をお届けしています。今日はわずか4頭立てとはいえ、二強の激突で盛り上がったサセックスSの結果からお伝えします。

●ディフェンディング・チャンピオンの4歳トロナドは60.5キロ、チャレンジャーの3歳キングマンは56.5キロ。ゴール前の1馬身差は重量の4キロ差が反映されたものだったのでしょうか。長い歴史の中で挑戦者たちを退け連覇を果たしたのはフランケルだけという事実を考えれば、完成の域に達した古馬が、成長盛りの3歳馬を迎え撃つには過酷な条件なのかもしれません。たった2日、8月1日以降は馬齢重量が変更となり、たとえば半月後のジャックルマロワ賞では、3歳馬56キロ、古馬59キロと差は3キロに縮まります。こちらのレースは3歳と古馬が互角の結果を残していますから、サセックスSの重量は微妙な設定と言えそうです。

●勝ったキングマンはダンチヒ系インヴィンシブルスピリット産駒で、母は仏1000ギニー勝ちのG1馬ゼンダという血統です。馬主さんはジュドモントファームを経営するカリッド・アブデューラ殿下。フランケル、ノーブルミッションと立て続けにG1ホースを産んでいるカインドといい、このゼンダといい、殿下は素晴らしい繁殖牝馬を持っています。羨ましいというより先に呆れてしまいます。これも長い間のチャレンジ精神を土台とした努力の積み重ねの賜物なのでしょうね。

●敗れたトロナドのオーナーであるカタールのジョアン殿下も新興勢力なのですが、凱旋門賞馬トレヴなど素晴らしい牝馬を集めています。もちろんクールモア、ダーレーも負けてはいません。種牡馬の重要性は言うまでもありませんが、競馬の頂点が繁殖牝馬の質で争われる時代になっているようです。

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