きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2016.5.5

肉を斬らせて骨を断つ!

ようこそいらっしゃいませ。

先週末のイギリス2000ギニー&1000ギニーに続いて、今週末はアメリカ競馬の最高峰ケンタッキーオークス&ケンタッキーダービーが開催されます。明日のオークスを受けて土曜にはダービーが行われますが、アメリカ生まれの日本調教馬ラニに注目が集まっています。史上もっとも感動的な天覧天皇賞の勝利を演じた日本の誇りヘヴンリーロマンスがアメリカに渡り、彼の地のチャンピオン種牡馬タピットを種付されて生まれた仔がラニです。このホースマンの夢を凝縮したようなサラブレッドがケンタッキーダービーに出走すること自体がドラマです。厳しい競馬になるんでしょうが、勝ち負けに関わらず、夢の時間を堪能させてほしいものです。

以前、ジョン・マコーマックさんという高名なホースマンにケンタッキーダービーのお話を伺ったことがあります。ディープインパクトのお母さんであるウインドインハーヘアを日本に仲介した知見に優れた腕利きのエージェントです。マコーマックさんは、アメリカの馬はすべてケンタッキーダービーを目指す、目指さない馬は1頭もいない、と断言します。ご承知のようにアメリカは世界最大の馬産国であり、質もそうですが量もちょっと前までは年間3万頭を超え、今でも2万5000頭余りものサラブレッドが誕生しています。単純に日本の3.5倍を越します。それだけのサラブレッドがこぞってチャーチルダウンズを目指して凌ぎを削るわけですから、出走できること自体が奇跡のような出来事です。

レースが激しく苛酷なものになるのも当然です。例年、スタートして最初の2Fは22秒台と日本で言うならスプリント戦のようなスピードでぶっ飛ばします。この肉を斬らせて骨を断つような問答無用の真っ向勝負のあり方が、世界中でダービーと名のつくすべてのレースで最高のレーティングを獲得している由縁なんでしょうか。雨で同日同コースのフェブラリーSではレコードが出るような高速馬場になり、他ならぬラニが追走に苦労させられ5着に敗れた東京ダートマイルのヒヤシンスSが23秒0でしたから、激しさはそれ以上を覚悟しなければなりません。たぶんラニには経験したこともない未知の領域でしょうね。でも遥々ドバイまで出かけて未知の世界を克服してきた馬ですから、我々の取り越し苦労に終わると良いのですが。吉報を心待ちにしたいと思います。