きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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先週日曜の札幌競馬場2レース、2歳未勝利戦で1番人気のポルトドートウィユがデビュー2戦目で初勝利をあげました。父ディープインパクト、母ポルトフィーノの血統で、祖母は名牝エアグルーヴになります。

ポルトドートウィユは、凱旋門賞の行われるフランスのロンシャン競馬場に最も近い駅名からとったそうです。凱旋門賞へのつづく蹄音が聞こえてくる素敵な名前です。祖母のエアグルーヴが活躍したのは1995年から98年にかけてで、エアグルーヴが現役時代は、凱旋門賞どころか海外レースはどこか遠い国に存在するレースのように感じられていました。1997年、当時最強馬の地位にいたサクラローレルが凱旋門賞へ向けて渡仏するも、前哨戦のフォア賞で大きな怪我を発症。道半ばで日本馬最強馬の海外挑戦は閉ざされました。

しかし流れが変わったのは翌年でした。タイキシャトルが海外への挑戦を表明すると、夏に渡仏したシーキングザパールがモーリス・ド・ギース賞を制覇。日本調教馬として初のヨーロッパG1優勝の快挙を達成すると、その翌週にはタイキシャトルがジャック・ル・マロワ賞を制し、国内外に大きな衝撃を与えました。そしてその年の秋にはエルコンドルパサーが凱旋門賞でモンジューと一騎打ちの激闘の末、2着に入る歴史的な蹄音を刻みます。遠い存在に思えてきた海外レースが、少しずつ日本馬にも近づいてきた、そんな風に思えたのが1998年でした。

エアグルーヴが現役時代にロンシャンの舞台に立っていたら、当時は想像すらできなかったことが今ではその血を引いた仔たちが現実に叶えられるものとして期待を寄せられる時代になっています。ポルトドートウィユの名がロンシャンの地に刻まれる、その日が来ることを楽しみに期待を寄せたいと思います。

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