きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

日米同時一強状態

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今週末のヨーロッパは、障害シーズンの終幕を飾る伝統のグランドナショナルが行われます。ビートルズやサッカーで有名なリヴァプール郊外にあるエイントリー競馬場を舞台に、1周3600mの広大なコースを2周する間に30もの聳え立つ峻険を跳び越える世界一ハードな競走です。完走馬が数えるほどという年も珍しくありません。中山大障害を4連覇して本場のハードルに挑戦したフジノオーが、障害の余りの高さ凄さに尻込みした逸話も残っているほどです。凱旋門賞挑戦も良いんですが、いつか日の丸代表が7200m・30もの障害を鮮やかに飛越していく姿を見たいものです。向こうでは生涯専門の種牡馬も大切にされますから、有能で素質豊かな馬たちに道を拓いてあげることもホースマンの仕事でしょうから。

さて昨日のケンタッキーダービーに続いてケンタッキーオークスの話題です。こちらのプレップレースのポイント争いはランドオーヴァーシーとう馬がトップを走っています。ところがこの馬、5戦5勝で大本命と目されるソングバードと3度対戦して、いずれも勝負になりませんでした。最初は2歳時のG1デルマーデピュータントで顔を合わせたのですが、ソングバードから6馬身差の3着。次のG1シャンデリアSも4馬身突き離されて2着。それでも3着には10馬身近く先着していますから力はあるんでしょうね。ただソングバードが凄すぎるということのようです。今年に入って2月のG2ラスヴァージネスSでまたまた対決しますが、三度目の正直どころか6馬身半とさらに差を広げられて完敗。手の施しようがない強さです。

宿命のライバル視されたレイチェルアレクサンドラの事実上の忘れ形見レイチェルズヴァレンティナも順調さを欠くようです。こうなるとダービー挑戦話がファンの間で熱気を帯びてくるのですが、ホレンドルファー調教師は「そうするなら最初からそういうローテーションを組むさ」と至って冷静。オーナーの要請という“神の声”が降臨しない限り、1915年のリグレット、80年のジェニュインリスク、87年のウイニングカラーズに続く4頭目の牝馬によるケンタッキーダービー制覇の快挙を見られるチャンスの目は残念ながら薄そうです。日本のメジャーエンブレムもそうですが、今年の牝馬クラシックは日米ともに一強状態ということでしょうか。

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