きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

王者へ向けての飛越

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先週土曜日、阪神競馬場では阪神スプリングジャンプが行われました。春の障害レース大一番中山グランドジャンプへ向けた前哨戦で、昨年春の中山グランドジャンプに暮れの中山大障害とジャンプG1を連覇し、2015年の最優秀障害馬を受賞したアップトゥデイトが出走。単勝2.1倍の1番人気に支持され、2番人気サナシオンが2.5倍、オースミムーンが4.1倍の3番人気と人気を分けあってのレース発走となりました。

勝ったのは2番人気のサナシオンでした。好スタートから先手を奪い道中は後続を大きく引き離し10馬身以上のリードを広げて逃げて、2番手にアップトゥデイトが追走といった隊列でレースが展開。4コーナーで両馬の差が接近したものの直線でサナシオンはさらに差を広げ、2着アップトゥデイトに5馬身差をつけての完勝でした。3着にはヴィーヴァギブソン、3番人気のオースミムーンは後方から追い上げたものの届かず4着までとなりました。

サナシオンは父シンボリクリスエス、母父サンデーサイレンス、母はジェダイトになります。サナシオンはデビューから平地を30戦走って3勝。500万条件を勝って以降勝利から遠ざり、昨年4月に障害レースへと転向します。結果水を得た魚のように才能を開花。障害未勝利戦からオープン連勝、東京ハイジャンプにイルミネーションジャンプステークスと5連勝し、またたく間にサナシオンは障害レースの主役へと躍り出ました。歴史的名ジャンパー誕生へ。そんな声を背に昨年暮れの中山大障害では単勝1.7倍の圧倒的支持を受けたものの、サナシオンはアップトゥデイトの3着に終わり初めて障害レースで土がついた結果となりました。

今回サナシオンはまずはその借りを返しました。次は4月16日中山グランドジャンプの大一番です。かつて平地で物静かだった馬が我道を得て別馬のように逞しく変貌し、歴史ある大舞台で栄誉を手にするあと一歩のところまで来ました。

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