きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ドバイ決戦前夜

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AWが売り物だったドバイワールドCがダートに戻されて、今年は昨年以上にダート帝国アメリカ勢が本気モードだとお話ししました。旧知のナドアルシバから新設のメイダン競馬場に移行して今年で7年目、招待馬リストを見る限りその充実ぶりが例年以上であることが手に取るように伝わります。

最近はドバイミーティング各レースのレーティングも凋落傾向にあり、ロンジンの世界のG1結果を集計したランキングでは、シーマクラシックが15位で日本のジャパンCや有馬記念にもかないません。ドバイターフは28位でこれも宝塚記念に遅れを取っています。ワールドCに至っては33位で全般に評価の低い世代限定レースの英2000ギニーとタイで並んでいます。ダントツの世界最高賞金を誇る面影はどこにもない有様です。モハメド殿下以下、ドバイのホースマンも危機感に迫られたことでしょう。いろいろと試行錯誤はありました。ワールドCのダート変更が最も大きな施策ですが、前哨戦シリーズの賞金アップなど世界各地の強豪を集める努力も小さくなかったでしょう。

キングジョージの覇者ポストボンドもその一頭で、早々とメイダンに乗り込み本番シーマクラシックと同コース同距離のトライアルを制して万全の態勢です。ドゥラメンテ以下の日本勢にとっては強敵です。この馬には日本でもお馴染みのアッゼニ騎手が騎乗するのですが、ライアン・ムーア騎手はハイランドリールですね。層の厚いオブライエン厩舎特有の使い分け戦略で昨年はアメリカのセクレタリアトS、香港ヴァーズとG1制覇して遠征競馬に強い馬です。10歳になった古豪シリュスデゼーグルも参戦するようです。シーマクラシックは過去に1着と2着、ゲンの良いレースです。主戦のスミヨン騎手はアガ・カーン殿下のダリヤンですから、騎乗歴のあるデットーリ、ペリエあたりのベテランが手綱を執るのでしょうか。馬も人も世界の一流が集結して素晴らしいミーティングが期待できそうです。

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