きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

マル外の活躍と血の多様性

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昨日の川崎エンプレス杯は外国産馬のアムールブリエが昨年に続いて連覇を果たしダート女王の座をしっかりと踏み固めました。前走の川崎記念3着など牡馬の強豪相手に遜色のない競馬をするのですが、牝馬限定戦では人気でコロリと負けたり掴みどころのない馬だったのですが、5歳を迎えて米国産には希少な晩成の血が騒ぎ始めたのでしょうか?キズナとワンアンドオリーでダービー連覇したノースヒルズのオーナーブリーダー馬で外国産馬と言っても母は日本で走っていたヘヴンリーロマンスですから少々異色です。兄のアウォーディーなんかは日本でジャングルポケットを付けてアメリカで産むという、何だかややこしい手順で誕生しています。これでもマル外はマル外です。昔ほど出走制限が厳しくはない昨今ですが、それでも番組的に有利とは思えないマル外にこだわるのはなぜ?

今週の中山G3オーシャンSにもアルビアーノ、エイシンブルズアイ、ヘニーハウンドなどマル外が有力どころを形成しています。気のせいか外国産馬の活躍が目立つ最近の流れは、一つにはディープインパクトを頂点とするSS系ヒエラルキーの中では、思うように良駒が手に入りにくい事情が多少とも影響しているのかもしれません。それにしても日本の芝であれだけ切れたヘヴンリーロマンスの仔が総じてダート得意と言うのも血統の不思議です。向こうでは芝のG1ホースを出している血でも日本ではなぜかダート寄りです。日本の芝G1のレベルが高いということになるでしょうか?

さてヘヴンリーロマンスですが、ご存じのようにアウォーディーの初重賞は5歳秋、アムールブリエも4歳時にやっと本格化して5歳の今年は充実一途です。今年のJBCは彼女の大好きな川崎開催ですから、名実ともの女王に君臨するチャンスです。そもそもロマンス自身が4歳暮れの阪神牝馬Sで重賞の美酒を始めて味わい、5歳秋で札幌記念と天覧競馬の天皇賞秋を連勝した奥手の馬でした。UAEダービーからケンタッキーダービーを目指す3歳仔ラニは、ヒヤシンスSで敗れドバイからの招待状はまだのようですが、血が血だけにこれから成長する余地も十分にありそうです。陣営はケンタッキーダービー挑戦が叶わなければ、カジノドライヴのようにピーターパンSからベルモントSを目指すセカンドプランも用意していると洩れ聞きます。いずれにしろマル外の活躍は血の多様性を広げ、日本競馬全体の底上げを図る意味でも活発化してほしいものです。

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