きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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キングマンの突然の引退で来春のバンステッドマナースタッドは世界の良血牝馬が門前市を成す大変な賑わいになりそうです。

●名門ジュドモントファームを率いるサウジアラビア出身のカリッド・アブデューラ殿下の同スタッドは、次代の世界競馬を担うフランケルを繋養し一躍有名に、世界中から名だたるG1牝馬が押し寄せました。種牡馬実績のない馬が、種付け料いきなり12万5000ポンド(約2200万円)は凄すぎ。彼以外にもデインヒルと並ぶダンチヒ最良の後継馬グリーンデザートの血を繋ぎキングマンの母ゼンダの半弟にあたるオアシスドリーム、デインヒル直仔で大成功しているダンシリなど今を時めく名種牡馬がキラ星のように居並びます。まさにG1ホースの揺り籠と表現しても過言ではないでしょう。そこへキングマンが加わるのですから、世界でもっともホットなスタリオンと言えそうです。

●種牡馬としての成功の条件は整っているように思います。スピード豊かで破壊的とさえ思える異次元の瞬発力を備え、レースでは絶対的な能力を見せつけました。母は仏1000ギニー勝ちのG1馬であり、母系には凱旋門賞馬ザルカヴァを生んだザミンダー、80年代最強を謳われるダンシングブレーヴ、70年代の名馬ミルリーフと代々その時代を象徴する飛び抜けて優秀な血が重ねられています。掛け値なしの良血馬ですね。豊富に上質牝馬を擁し、種牡馬としてのフィジカル、メンタル両面をケアする優秀な施設と技術を誇る第一級のスタッドが繋養地、他牧場からも一級品の牝馬のオファーが絶えないでしょうから、失敗の確率は考えられないほど低いものでしょうね。問題はフランケル同様、自分を超えるような傑出した存在を出せるかどうか、それだけでしょうね。名馬ならではの悩みです。早ければ3年後の2017年には産駒の何頭かは日本でもデビューするのでしょうが、ヨーロッパの深い芝で上がり31秒台と物凄いラップを叩き出した破壊力の片鱗を見たいと今から楽しみワクワクです。

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