きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー

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何度かお伝えしているようにケンタッキーダービーは、その出走権が指定されたプレップレースのポイント獲得数で決められています。有力馬を多数抱える一流厩舎は使い分けに苦労し、有力馬が分散しがちなリスクもあるのですが、どんな方法も一長一短があるわけで、これはこれで分かり易くアメリカ競馬最高峰のイベントを盛り上げる上でファンを巻き込み易いという点でアドバンテージがあるだろうと思っています。それもきめ細かく3段階のプレップレースが設定されていて、2歳時と3歳初期の指定レースはBCジュベナイルの1着20ポイントを除けば、すべて1着10ポイントに設定されていて、この段階では出走権確保にはなかなか至りません。先週からは第2段階の50ポイントレース、この先には100ポイントレースが待っています。これらは勝てば出走が一発で決まります。サバイバルレースもいよいよ正念場を迎えました。

先週から始まった50ポイントレース第1弾のファンテンオブユースSは、東海岸エリア代表選抜戦。レース名を直訳すれば青春の泉でしょうか。若々しい息吹きに満ちた希望の象徴のようなレースです。ポイント制がスタートした13年にはオーブという馬が、ここからフロリダダービー、ケンタッキーダービー制覇へと上り詰めた縁起の良いレースです。その前年のユニオンラグズもベルモントSを勝っており、クラシックロードへの一里塚としては申し分のない格を備えています。日本で今年から種牡馬生活に入るエスケンデレヤは故障でクラシックを棒に振りましたが、このレースを勝って随分と有望視されたものです。

今年勝ったのはモハイメン、G2を4連勝中でデビュー戦を加えると5戦5勝の土つかず、ダービーポイントを現時点トップの70に伸ばしました。ダービー出走は当確でしょうから、随分とローテーションが楽になりました。オーブ同様にフロリダダービーからケンタッキーダービーという王道を行くんでしょうね。リーディングサイヤーのタピット産駒です。タピットはしなやかで雄大な馬格を誇る仔が多く、セリでの評価も高く、競走成績の面でも粒揃いで、ベルモントSのトゥナリストやケンタッキーオークス、BCディスタフのアンタパブルなど一流馬を続々と輩出しています。日本でも初年度産駒のテスタマッタが活躍し、先日の根岸Sでは次走フェブラリーSを完勝するモーニンの2着に健闘したタールタンなど、ダートでは目立つ存在なのですが、画竜点睛を欠くイメージもあって超大物というのは日米ともにまだ出ていません。モハイメンが6戦6勝のダービー大本命馬ナイクィストを倒すようなことになれば、待望の大物見参のドラマが始まるのですが。

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