きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港からの刺客

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引き続きドバイワールドCデーの話題をお届けします。芝マイル部門のドバイターフ1800mは、ヨーロッパNo.1のソロウと東アジアチャンピオンのモーリスの一騎打ち?と思っていました。事実上の世界マイル王決定戦です。1800mがマイル?と思われるかもしれませんが、国際基準では、1301m~1899mの広い範囲でマイルのカテゴリーが定められています。ただし北米では1600m~1899mでそれ以下はスプリントになります。1800mは現代の王道とも言える2000m中心の中距離路線への最終関門ですね。一昨年のジャスタウェイのように1800mのドバイターフを勝ち、2000mの天皇賞秋を勝ったとなると種牡馬価値がグンと上がることになります。

セン馬のソロウはドバイターフ1着賞金360万ドル≒4億3200万円の高額賞金がとりあえずの目当てでしょうが、モーリスには将来の種牡馬生活を含めてそれ以上の生涯価値を決める大事な一戦になります。ところが世界は広いもので、この分野にも新たな刺客が登場してきました。先週の香港G1スチュワーズCを制したジャイアントトレジャーがその馬です。国際的には無名の存在だったのですが、破った相手がデザインズオンローム、ミリタリーアタック、ブレイジングスピード、ダンエクセルなど知名度の高い香港スターホースばかり。この勝利は世界のハンデキャッパーも認めざるを得ないでしょう。いきなり一流馬の仲間入りです。

血統的にはコジーンからカロへと遡るミズンマストの産駒で、芝でこそ本領を発揮する産駒を多く出しています。ジャイアントトレジャーの全姉ジブブームはアメリカの芝路線で大活躍しました。ミズディレクションという牝馬はBCターフスプリントを連覇しています。1800mは心持ち長い気もするのですが、鋭い切れ味を備えており、一発の魅力を秘めているようです。本番まで2カ月足らず、まだこれから多士済々の伏兵馬が出てくるんでしょうね。折に触れて引き続きレポートしていきたいと思います。

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