きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

エイシンヒカリがチャンプの座へ

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ご承知のようにロンジン社から昨年のサラブレッド世界ランキングが発表され、日本馬では香港Cを快勝したエイシンヒカリがレーティング123ポンドで世界8位タイにランキングされました。2014年のジャスタウェイ130ポンド、エピファネイア129ポンドで世界の頂点のワントゥーを独占したことを思えば、少し物足りなくもあるのですが、それは贅沢というものでエイシンヒカリは立派な仕事をしれました。血統的には父がディープインパクト、母父が昨日も世界中に巨大山脈を築きつつあるとお話したストームキャットという配合です。ディープとはダービー馬キズナや桜花賞馬アユサンをはじめ数々の重賞馬を輩出しており、これでまた一つ勲章が増えました。キングカメハメハとの間に日本最強スプリンターのロードカナロア、渋いところではタイキシャトルとのコンビネーションでメイショウボーラー、レッドスパーダといったスピードに秀でたマイラーを残しているのも印象的です。単にディープインパクトとのニックスというだけに止まらず、母父としては最強の切り札ですね。昨日もお伝えしたように、既に孫世代が父兄を発展させ母系を豊穣なものにしています。フランスの1000ギニーを勝ったディープ産駒ビューティーパーラーは母父がストームキャット直仔のジャイアンツコーズウェイでした。この血から目が離せません。

エイシンヒカリに話を戻すと、香港C制覇時に騎乗した武豊騎手が『先代の思いが深かった香港で勝てて嬉しい』とコメントしていましたが、馬主の栄進堂さんの創始者である平井豊光さんは、香港国際競走の創世期から数多の愛馬を送り込み続け、エイシンプレストンで香港マイル、クイーンエリザベス2世C連覇など香港競馬の歴史に残る偉業を成し遂げています。日本馬にとって香港が数少ない世界に開かれた門だった時代のことです。海外遠征が当たり前になってきている現在、先達の時代に先駆けたチャレンジに感謝せずにはいられません。
エイシンヒカリは今春もクイーンエリザベス2世Cに出かけるそうです。先述のようにプレストンが東アジアの王者にのし上がり、エイシンフラッシュが後一歩のところで3着に敗れたき悲喜こもごも思い出のレースです。天国の先代オーナーに朗報を届けられると嬉しいのですが。

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