きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

アメリカン・クラシック

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3月に迫ったドバイワールドCカーニバルの話題をお届けしています。旧来のナドアルシバからメイダンに開催競馬場が変わったのを契機に、ダートレースがAW(タペタ)コースに変更され、AW嫌いのホースマンが多いアメリカの有力馬の参戦が激減していたのですが、再びダートコースに戻された昨年からは1着1000万ドル≒12億円余りの世界最高賞金に意欲を示すアメリカンホースが増えています。さっそく昨年は二冠馬カルフォルニアクロームがドバイに駆けつけワールドCで2着に好走して底力のあるところを見せました。その後はロイヤルアスコットにも参戦の構えを見せながら故障で休養に入っていたのですが、先週のサンタアニタG2サンパスカルSで戦列復帰、それなりの強敵を相手に楽勝して復活の狼煙を上げています。順調なら今年もメイダンに姿を現わすのでしょうね。

37年ぶりに三冠を制覇、BCクラシックも貫禄勝ちしてして国民的英雄にのし上がったアメリカンファラオは引退し種牡馬に、12戦10勝G1を5勝で実績最右翼と見られていたシェアードビリーフが不慮の死を遂げて、手薄になったかと思われたアメリカ馬陣営ですが、明け3歳の若駒を中心に実力を備えたスターホースが育ちつつあります。彼らはケンタッキーダービーなど世界一過酷なローテーションで知られるクラシックへ向かうでしょうから、今年のドバイ参戦はないのでしょうが、アメリカ調教馬の層はまだまだ分厚いようです。

5戦5勝と不敗でBCジュベナイルを制したナイクィストは早熟系のアンクルモーの初年度産駒ですが、母父にアメリカンファラオと同様にストームキャット系の血を持っています。最盛期には60万ドル≒6000万円と当時の世界一高額な種付け料で有名だった血統です。額が額だけに種付けする牝馬も選りすぐりばかりです。現在のアメリカでのタピット、ヨーロッパにおけるガリレオ、フランケルと似た構図ですが、結果として走る仔が輩出される確率が高く、市場での取引値も破格の評価を受ける好循環を生んでいます。日本でもキズナなどに代表されるディープインパクトとストームキャット系牝馬の相性の良さは有名ですが、こういう名繁殖牝馬がゴロゴロしているのがアメリカの懐の深さなのでしょう。ドバイカーニバル同様に今シーズンのアメリカンクラシックは目が離せない熱い戦いになりそうです。

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