きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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早いものでヨーロッパでは平地シーズンはもう終幕間近です。日本では秋のG1シリーズが開幕したばかりでこれからが本番、ちょっと感覚に隔たりがあるのですが、向こうでは障害シーズンという新しい楽しみが待っています。競馬にお休みはあっても、ファンは一息入れる暇もないようです。

血統の面から今季を振り返ると、やはり帝王ガリレオの底力が英愛ダービーのオーストラリアから先週の今季フィナーレを飾るチャンピオンSのノーブルミッションまで断然の差を誇示することになりました。獲得賞金でダブルスコアを上回るのですから、手のつけようがありません。加えて凄いのは、母父の分野でも帝王が力を見せ始めました。英2000ギニーで今季のヒーロー・キングマンを破ったナイトオブサンダーは父ドバウィ、母父ガリレオという血統でした。

ご存じのように、種牡馬は種付けから産駒がクラシック年齢に達するまで5年、牝駒たちが3歳いっぱいで繁殖に上がったとして孫がクラシックの舞台に立つまでもう5年、母父部門でランキング争いできる手駒が揃うにはさらに5年、15年戦争ですね。ガリレオは初年度産駒が生まれて今年で11年目、やっと母父適齢期というところでしょうか。来季以降のこの分野での躍進が目に浮かぶようです。

むろんサイヤー・オブ・サイヤーズ(種牡馬の父)としての存在感は抜群です。既にテオフィロ、ニューアプローチなどがトップクラス入りしていますが、フランケル産駒がデビューする再来年には帝王の威光はピークに達するんでしょうね。これだけの血統が”日本だけで走らない”というのは何だか疎外感めいたものを感じさせます。ガリレオだけが血統じゃないというのも確かですが、凱旋門賞で完敗を喫した後だけに、世界に通用する馬づくりということを改めて考えてしまいます。

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