きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

淀のターフに舞う若き乙女たち

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いよいよ今週から競馬ファンにとっては至極のGⅠシリーズが開幕します。秋のGⅠシリーズ2戦目は、牝馬クラシック最終戦となる秋華賞です。1996年に創設された3歳牝馬限定のGⅠで、今年で20回目の節目を迎え、京都の芝2000mで最後の一冠が争われます。従来は、桜花賞・オークスに続く牝馬3冠レースとしてエリザベス女王杯が設けられていましたが、1996年にエリザベス女王杯が古馬にも開放されたことで新たな牝馬限定GⅠ競走として秋華賞が設立されました。秋華賞から女王決定戦のエリザベス女王杯へ挑戦する3歳牝馬も多く、その前哨戦としての意味合いをもっています。

過去に秋華賞とエリザベス女王杯を連勝した馬は、2002年のファインモーション、2007年のダイワスカーレット、2013年のメイショウマンボの3頭のみとなっています。過去10年の傾向からトライアルのローズステークスから秋華賞へ臨んだ馬が圧倒的に好成績をおさめていますから、本年もローズステークスからの参戦組を中心に見ていきましょう。

注目は、ローズステークス優勝馬のタッチングスピーチでしょう。春の牝馬クラシックには間に合わなかったものの、トライアルレースとなった前走ではオークス馬のミッキークイーンを抑え、後方から鮮やかに差しきって優勝。一夏を越した成長の証を見せてくれました。舞台となる京都競馬場のコースも昨年の新馬戦で経験済みですから、最後の3冠レースにいっそう気合が入りますね。

対するは、オークス優勝馬のミッキークイーンでしょう。オークス馬としてのプライドをかけて臨んだレースでしたが、スタートから出遅れたこともあり、無念の2着となりました。しかし、最後方から疾風のような末脚で追い込んできたパフォーマンスは、「負けて、なお強し」この馬本来の能力を証明した結果となり、本番も十分2冠目を期待できそうです。

さらに、ローズステークス組から3着となったトーセンビクトリーも要注目です。父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリーという良血馬で母は2001年にエリザベス女王杯を優勝しています。同馬も故障の影響で春のクラシック戦線には間に合いませんでしたが、復帰2戦目の条件戦から4戦オール連対と調子をあげてきています。自身の勝鞍の3勝はすべて異なる競馬場であげたもの。距離やコースを問わず能力を発揮できる競走能力を活かして、初のGⅠ挑戦ながら、好勝負ができそうです。

他にも桜花賞馬レッツゴードンキやディープインパクト譲りの鋭い末脚が武器のクイーンズリングやディープジュエリーらもいます。近年の秋華賞では人気上位馬が人気に応えるケースが見られますが、過去には3連単の払戻金が1000万円を超える波乱のレースもありました。

ペース配分の難しい京都の芝コースで、春の実績馬がその実力を発揮するのか、または夏に力をつけた上がり馬が主役の座を奪うのか、その激しくも可憐な戦いに注目です。

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