きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

オーナーブリーダー重賞馬

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土曜東京競馬場では2歳重賞のサウジアラビアロイヤルカップが行われました。前身は1984年から行われてきた「いちょうステークス」で、2歳の距離体系の見直しと充実化を目的に昨年は新設重賞として行われました。いちょうステークスはもともと10月の東京開催でオープン特別として行われてきたレースで、2011年までは東京芝1600mで行われ、2012年、2013年と1800mに距離が伸び、昨年から再び1600mに舞台が戻ります。古くは女傑エアグルーヴにメジロドーベルがこのレースからの出世馬で、最近ではイスラボニータがいちょうステークスを勝ちその後、連勝で皐月賞馬まで駆け上がっています。2012年に2着したサトノノブレスも翌年の菊花賞で2着に入るなどの成長を遂げています。

その「いちょうステークス」ですが、今年は日本とサウジアラビア王国の外交関係樹立60周年にあたることから「サウジアラビアロイヤルカップ」へ改称。サウジアラビアロイヤルカップというと富士ステークスの印象が残るファンも多いことでしょうが、2歳重賞レースとして新たな歴史を歩み始めることとなりました。

さて今年行われた第1回サウジアラビアロイヤルカップですが、勝ったのは4番人気ブレイブスマッシュでした。ゴール前は1番人気イモータル、2番人気アストラエンブレムとハナ、クビ差の接戦で、粘りきっての勝利でした。ブレイブスマッシュは父トーセンファントムで母父トウカイテイオーの血統です。父トーセンファントムは新馬戦勝利後、2戦目でいちょうステークスを完勝。3戦目の東京スポーツ杯2歳ステークスでは後方から追い込んでローズキングダムのアタマ差2着まで迫った馬で、無事であれば世代を代表する一頭になっていたと思われる馬でした。しかし暮れの朝日杯フューチュリティステークスでレース中に骨折。競走能力を失い引退を余儀なくされます。引退後は乗馬への道も話に上がったトーセンファントムでしたが種牡馬入り。オーナー自身の生産牧場の繁殖牝馬と交配させ、トーセンファントムへ第2の道を与えます。
今回トーセンファントムが勝ったレースで、その仔ブレイブスマッシュは重賞初制覇と遂げました。記念すべき第1回目の「サウジアラビアロイヤルカップ」は、トーセンファントムとブレイブスマッシュが、オーナーのその想いに応えるような、そんなレースになりました。

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