きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

チーム・トレヴの絆

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先週のヨーロッパは、もう秋本番。アイルランドでチャンピオンS、ロンシャンでは本番凱旋門賞と同コース同距離のトライアル3連発が行われました。もうご承知のようにトレヴの強さと来たら圧巻でした。馬自身がロンシャン2400mの走り方、勝ち方を知悉していて、どういう競馬になっても負ける姿というのはイメージできません。ブックメーカー各社の前売りオッズ1倍台も至極当然と納得させられます。

厩舎でリラックスしている様子は、小柄で愛らしい可憐としか言いようのない女の子です。どこにあの爆発的なエネルギーが潜んでいるでしょうか。それにしても山あり谷あり、ここまでの道のりは平坦なものじゃなかったです。体調が整わず負け続けた昨年は何度も引退が噂されました。女性ならではの細やかさと愛情でトレヴを信じ続けてきたクリスチーヌ・ヘッド=マーレク調教師やスタッフの皆さんには頭が下がります。トレヴが3連覇の偉業を果たすようなら、それはチーム・トレヴの固い絆の賜物なんでしょうね。

手綱を執るティリエ・ジャネル騎手の功績も忘れられません。彼はオーナーのカタール王族・アルシャカブレーシングが名手デットーリ騎手と専属契約を結び、一度はトレヴの背中から追われた男です。マーレク師の厚い信頼もあってカムバック、トレヴ3連覇達成なら凱旋門賞史上最多勝騎手の栄光を一身に集めることになります。マーレク師のお兄さんであるフレディ・ヘッドさんやオリビエ・ペリエさんなど歴史的名手の通算4勝を追い越し、レジェンド・ジョッキーの最高峰に君臨します。

マーレクさんご自身もオーナーブリーダーである両親や兄フレディ騎手とのチームで過去にイヴァンジカ、スリートロイカスで凱旋門賞を勝っており、トレヴの今回で5勝目に王手をかけました。皆んな牝馬というのが凄いですね。マーレク厩舎の皆さんは、牝馬と会話する魔法の使い手なのかもしれません。後2週間ちょっと、調整もデリケートを極める最終段階です。世界中のファンの期待を背負って、チーム・トレヴの絆に熱い視線が注がれています。

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