きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

日香兄弟対決

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少し気が早いのですが、秋のG1第1弾スプリンターズSを海外からの登録馬を中心に展望しています。イギリスからは7戦5勝2着2回とまだ底を見せていない上昇馬リマートの存在が光りますが、あちらは“登録文化”というか、少しでも参戦可能性があれば、とりあえずエントリーしておくのが普通で、登録が出走表明と直結しません。後になっての追加登録料がベラボウに高いからでしょうが、登録戦略の立案と実施が調教師やレーシングマネジャーの重要な仕事になっています。リマートも既に9月中旬のスプリントC、10月中旬のブリティッシュ・チャンピオンズスプリントの短距離王道路線にエントリーしており、そちらを捨てて日本にやって来るモチベーションは高額賞金にしかありません。まぁ、来てくれないのでしょうね。

その点、お馴染みの香港勢はシーズンオフでもあり、調子さえ整えば気軽に来日してくれそうです。今回で3度目の来日となるラッキーナインは8歳馬で、さすがにチャンピオンの座は高松宮記念制覇など日の出の勢いのエアロヴェロシティに禅譲した形ですが、タフで渋太いレースぶりは健在です。4年前には59キロを背負ったセントウルS2着の強いレースぶりが印象に残っています。昨年のスプリンターズSは新潟開催で貸与馬房が狭いなどの環境問題で来日を取りやめていますが、中山に戻る今回は晴れて日本の土を踏むことになるでしょうね。

注目は今週の札幌キーンランドCをステップにG1戦線参入を目論むティーハーフとの兄弟対決ですね。兄はアイルランドのダーレー、弟はダーレージャパンの生産馬ですが、生まれ故郷は違えど、ピールジャントというお母さんのどの風土にも順応して良駒を出す生命力には感心します。ちなみに兄は香港のオーナーに売却されていますが、弟はモハメド殿下の勝負服で中山の急坂を駆け上がります。他家に養子にもらわれ国際G1を幾つも勝った偉大な兄との生まれて初めての邂逅。馬には分かる由もないのでしょうが、なんだか今年はドラマティックなスプリンターズSになりそうです。

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