きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ヨークの驚愕

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競馬にはときどき目を疑うようなことが起きるものです。昨夜のヨーク競馬場での出来事がそうでした。あろうことか負け知らずのイギリスダービー馬ゴールデンホルンに土がついてしまったのです。同じくギニー路線で実質上の無敗馬(デビュー戦とG1ジャンリュックラガルデール賞で1着入線も降着以外は連勝中)グレンイーグルスに負けたのかというと、彼は例によって神経質すぎるほどのオブライエン調教師の出走決断が今回も降りず、向こうでは珍しくもないのですが直前にゲートインを回避していました。となると、負かしてきた馬ばかりか、もしくははるか格下の相手ですから、ちょっと何かに先着を許す姿というのは想像しにくいものでした。

ところが競馬は確定ランプが灯るまで分からないというのが歴史の教訓です。忘れた頃にやって来るのが自然災害と大穴馬です。大本命ホルンは、まったくノーマークのアラビアンクイーンという同い年の女の子の逃げを捕まえきれずクビ差だけ負けてしまったのです。この出来事を後世のホースマンたちは、“ヨークの衝撃”とか“ヨークの驚愕”などと呼ぶことになるんでしょうね。

これで凱旋門賞の行方が混沌としてきました。まだ先のことだと思っていましたが、もう1ヶ月半でロンシャンの一番熱い日が来るんですね。史上初の3連覇を目指すトレヴへの評価は揺るがないとしても、土がついたのゴールデンホルンなどの人気落ちは避けられないでしょうね。それにしても今年は日本馬不在の凱旋門賞になってしまうんでしょうか。返す返すもドゥラメンテの故障やルージュバックの熱発が残念でなりません。

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