きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

父系4連覇の夢

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日本風に言えばお盆最終日の16日に行われる欧州マイル最高峰レースのジャックルマロワ賞ですが、今年は目下8連勝中の古馬帝王ソロウ、仕上がり不足のデビュー戦と3着降着となったジャンリュックラガルデール賞以外は同世代に敵なしのG1・4勝と若武者ぶりが凛々しいグレンイーグルスがともに顔を見せず頂上決戦はまたもやお預けになりました。ファン待望の一戦がもし実現するとしたら、欧州競馬のフィナーレを飾る英チャンピオンズシリーズのマイル最終決戦クイーンエリザベス2世Sということになります。両馬ともに既にエントリーを済ませていますが、グレンイーグルスは10Fの英チャンピオンSと両睨みなので実現は流動的で微妙です。

そういうわけで、今年のジャックルマロワ賞は3戦3勝で仏2000ギニーを勝っている名門アンドレ・ファーブル厩舎のメイクビリーヴということになりそうです。3馬身捨てたニューベイが直後の仏ダービーを快勝しており、その比較からもフランスの世代No.1は疑いがありません。曽祖父に名馬ドバイミレニアムの名が見えます。距離の壁に阻まれた英ダービー以外は負けを知らず、3歳時にジャックルマロワ賞を勝っています。種牡馬としてはたった1世代を残したのみで早逝しましたが、その希少な産駒から孝行息子ドバウィが出て血を繋ぎました。今や東横綱のガリレオの向こうを張って西の正横綱といった貫禄の大種牡馬に成長しています。その息子マクフィは強いのか弱いのか良く分からないムラ馬でしたが、ジャックルマロワ賞では最盛期の女帝ゴルディコヴァを撃破していますから、やはり相当に能力の高い馬だったのでしょう。

曽祖父、祖父、そして父と3代続けて3歳時にジャックルマロワ賞を制覇しているというのも、この一族の平凡では終わらない天才肌を物語っています。4代目メイクビリーヴに注目が集まるのも当然かもしれません。ちなみに半姉ドバウィハイツはアメリカで芝G1を2勝して社台ファームに迎えられ、ディープインパクトの2歳とハーツクライの1歳の姪たちがデビューを待っています。故障で大成できませんでしたが藤沢和雄厩舎にいたレッドコーストはビリーヴの半兄で何かと日本にご縁のある血統です。父系4世代による同一G1制覇は、長い歴史が横たわるヨーロッパでも滅多に見られることではありません。歴史的快挙の実現を期待しましょう。

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