きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港競馬が大繁盛

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ご承知のように南半球競馬は8月1日を起点に行われています。この日を境に馬たちは1歳を加齢し、新シーズンに突入します。北半球とは半年遅れのタイムラグが存在することになります。オーストラリアや香港の馬が6月中旬のロイヤルアスコットに好んで参加するのはブランド価値の魅力もあるのでしょうが、タイムラグのハンデを担保する意味合いも大きいのでしょう。国際レースの開催に見落とせないポイントだと考えられます。

さてお隣の香港競馬、2014/2015シーズンが幕を閉じました。売上、入場者数とも史上最高を更新し大盛況だったようです。日本円で1兆7200億円余り、JRAの2兆5000億円弱と比べても競馬場への入場者数207万人と614万人の差もそうなんですが、延開催日数が香港83日、JRA288日と3倍以上の開きがあり、規模では日本でも勢いは完全にあちらに流れが行っています。

シーズン閉幕にはどの国も同じように人馬の表彰があります。年度代表馬、マイル王には今季6連勝と破竹の快進撃を続けロイヤルアスコットで1番人気に支持されたエイブルフレンド、スプリントは日本の高松宮記念を含めて香港、シンガポールの3カ国でG1を完全制覇した“極東の超特急”エアロヴェロシティ、中距離部門はドバイで名を売った新星デザインズオンロームといずれも世界的に非常に知名度の高い馬が選ばれています。内弁慶に満足してしまうのではなく、堂々と世界へ打って出る勇気と潔さが今の香港競馬の隆盛を物語っていると思います。

表彰で変わっているというか素晴らしいアイデアと感じたのはファン目線で人気馬、人気騎手が顕彰されていることです。最高人気馬には英雄エイブルフレンドが文句なしで選ばれ、最高人気騎手はエイブルフレンド、デザインズオンロームの主戦でリーディングに輝いたジョアン・モレイラ騎手が獲得。再高成長馬という分野もあります。1年間でレーティングをもっとも上昇させた馬に与えらます。来季に興味を繋いでくれます。功労馬には香港競馬の一時代を築いたミリタリーアタックとカリフォルニアメモリー、誰にも異論なく心和む選出でした。マーケティングが数字オンリーの無機質な科学に終わらないで人情の機微というかファンの心の襞に気持ち良く深く沁み込む一種の哲学のようなものになっていると感心、感動しました。人口ピラミッドで見ると香港は40歳代にピークが来ています。働き盛りの国です。日本のピークは60歳代を越していますから国情も違えばマーケットのあり方も随分と異なっています。単純に見習うということではないのですが、経営努力はいつの時代、どんな組織にも必要なものであるのは確かです。

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