きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

世界が狭くなっていく

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セレクトセールが盛況のうちに閉幕しました。今年は初日の1歳馬セッションが記録づくめの史上最高規模に、二日目の当歳セールは少し低調でしたが、全体としては昨年の125億円余りを上回る131億円余りを売り上げ、世界にその存在感を示しました。アベノミクスなどと笛を吹いても、馬主の皆さんは第一線の一級のビジネスマンとして活躍する方々ですから、簡単には踊らされません。プラスマイナイスでちょこっとプラスというセール結果は、馬主の皆さんの良識と日本競馬界の健全さを改めて確認させてくれました。良いセールでしたね。

トピックスは外国人バイヤーの目覚ましい台頭ぶりでしょうか。アメリカ・ケンタッキーのウインスターファームは、今年37年ぶりに三冠馬アメリカンファラオを輩出したパイオニアオブザナイルの繋養スタッドとして有名ですが、この時のヒーロー以外にもディストーテッドヒューモア、スパイツタウン、ティズナウ、コングラッツなどリーディング上位常連の名種牡馬を擁する名門牧場です。この名門の今回のセレクト参戦のコンセプトは、日本流出した血を取り戻すこと、欧米には希少なサンデーサイレンス系の血を導入することにあったようです。エンパイアメーカーの日本輸出後にも母国に残された産駒が大活躍をしたり、昨年の最高峰レースの一つBCマイルを母父サンデーサイレンスの日本産馬カラコンティが勝ったり、カルチャーショック級の事件が続きましたから、アメリカのホースマンもおちおちして居られない気分なのでしょうね。

当歳セッションで初年度産駒を上場させたノヴェリストも、競走馬時代のオーナーだったクリストフ・ベルグラーさんがさっそく購入して、故国ドイツで走らせるそうです。セレクトからドイツダービー馬が出るなんて夢のようなことが起きるかもしれません。世界はますます狭くなり、一つになっていくようです。

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