きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

シルクロードの涯

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デヴァインライトはサンデーサイレンス初期の産駒で日本での競走馬生活は高松宮記念2着の穴馬として記憶に残る程度の地味なものだったのですが、種牡馬として海外に雄飛し世界地図にしっかりと名前を刻みこみました。産駒のフランス調教馬のナタゴラは英1000ギニーを勝ち、史上初の日本発欧州クラシック馬の金メダルを射止めています。その後トルコに売却されたのですが、2年目産駒のデヴァインハートが2013年にトルコダービーを制覇、その翌年に急死してしまうのですが、遺児レンクが先日のトルコダービーで劇的な弔い合戦を果たし父の名を高めました。優勝賞金に様々なボーナスを加えると2億円を超えるようです。馴染みの少ない中東の異国のイメージしかないのですが、賞金的には日本ダービーに迫るハイレベルなものです。アメリカを中心に高名な種牡馬が導入されており、トルコ競馬は急速に侮れない発展を遂げているようです。

トルコといえばイスタンブール、遥か古代からアジアとヨーロッパを繋ぐシルクロードの最重要中継拠点ですね。奈良の正倉院には彼の地からはるばるやってきた絨毯などが今も国宝として大切に保存されています。三千年前の贈り物のお返しにデヴァインライトの頑張りが少しは役に立ったようで嬉しい気持ちになります。これもサンデーサイレンスの偉大な血の遺産の賜物でしょうか。慣れない異国で孤独な戦いをまっとうしたデヴァインライトを継ぐ馬たちが出てほしいものですね。

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