きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

最高の良血にして最強

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イギリス、アイルランド、フランスを括りとする西ヨーロッパではクラシック第1弾=スピードと切れ味をマイルで競う牡馬の2000ギニー、牝馬の1000ギニーが一段落したところです。近年はこのカテゴリーから傑出した馬が数多く出現しており、今やダービー路線を凌ぐほどの存在感を誇示するようになっています。昨年のキングマン、数年前のフランケルとヨーロッパチャンピオンであることを証明する年度代表馬の多くがこのカテゴリーを出身母体としていました。

『わたしが管理した中では最高のマイラー』とA.P.オブライエン調教師が自慢するグレンイーグルスは、名伯楽のお眼鏡通りにイギリスとアイルランでダブル制覇して文句のない世代チャンピオンに君臨しました。師が育てたマイラーと言えばロックオブジブラルタル、ヘンリーザナヴィゲーターなど歴史的名馬がズラリと並んでいます。クールモア所有馬の価値を高めるブランドマネジャー的な師の立場を割引しても高い評価であるのは言うまでもありません。

英愛シリーズにはフランス組の参加がなかったので比較が難しいのですが、仏2000ギニーで1番人気に推され6着だった同じクールモア軍団のハイランドリールを物差しにすれば、グレンイーグルスの成長力が一枚も二枚も上だった印象が強いです。これまでもデビュー戦以外は3着降着のG1ジャンリュックルガルデール賞を含めて、すべてのレースでイの一番にゴールに飛び込んでいます。掛け値なしに強い馬なんでしょうね。

父は大種牡馬ガリレオ、母は自身が重賞勝ち馬で全兄ジャイアンツコーズウェイはストームキャットの最高傑作という世界的良血馬。この馬の全姉マーヴェラスは昨年の愛1000ギニーの勝者であり、早くも注目されている2歳の全弟は馬名がクールモアと決まっていてこれ以上はない期待を集めています。偉大なクールモアの歴史を塗り替えるような一族として発展していくんでしょうね。次走はロイヤルアスコットの3歳マイル王決定戦セントジェームスパレスSが濃厚なんでしょうが、ダービー挑戦という話も出始めており、その去就にも熱い視線が集まっています。明日は牝馬の1000ギニー戦線を振り返ってみたいと思います。

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