海外だより

『全部とりに行く!』

いよいよゲートインが始まります。サウジアラビアのキングアヴドゥラアジーズ競馬場で開催される春一番の国際イベント「サウジカップデー」は、例年にも増して日本調教馬の前評判が高くなっているようです。JRAで馬券発売されるのは若き総大将フォーエバーヤングが人気を集めるメインの1着賞金1000万ドル≒15億円と破格も破格の高額賞金サウジカップのみですが、他レースでも日の丸の存在感がズシリと重さを感じさせるブックメーカーの前売りオッズです。サウジカップは後で触れるとして、フォーエバーヤングが国際デビューを飾ったサウジダービー1600mでは、牝馬のミリアッドラヴが1番人気に支持されています。3戦無敗で全日本2歳優駿を勝っているあたりは、ヤングの牝馬版と言って良く、ここをステップにケンタッキーオークスの桧舞台を目指してくれるでしょう。

古馬陣営では、今年の目標を凱旋門賞に置くシンエンペラーがネオムターフカップ芝2100mで始動します。昨年の頑張りと年を越しての成長を思えば、ちょっと抜けた人気に支持されるのも納得です。芝1351mと変則距離の1351ターフスプリントは、アスコリピチェーノを筆頭にウインマーベル、テンハッピーローズと日本勢が上位人気を独占しています。逆にダート短距離のリヤドダートスプリント1200mは、BCスプリントのチャンピオンに輝いたアメリカのストレイトノーチェイサーの実績と貫禄に1番人気を譲っていますが、少差でリメイクが続き、3番手以下もガビーズシスター、ジャスパークローネ、チカッパ、イグナイターと日本馬のオンパレードです。力のある馬ばかりですから、一発があっても驚けません。とくにリメイクは連覇がかかっています。直線で大きな不利があったBCスプリントの最下位は度外視して復活を期待したいですね。唯一、日本馬の影が薄いレッドシーターフH3000mは大混戦模様ですが、レースが近づくにつれ英セントレジャー馬という勲章が光るコンティニュアスの評価がウナギ登りの勢いです。名門オブライエン厩舎のハーツクライ産駒の奮起に注目するのも良いでしょう。

さて、フォーエバーヤングのサウジカップですが、14番枠と大外からの発走になりました。これまで14番枠からスタートした馬は、掲示板にすら載っていません。まだ歴史も浅いですし、出走馬のポテンシャルにもバラツキがあるので、一概に大外不利と言い切れませんが、ちょっとイヤですね。乾燥地帯の競馬場ですから保水性を高めるために、ウッドチップを混合した独特の組成のダートコースになっており、これが砂を固まりにくくさせてキックバックを抑え、走りやすいがスピードが出過ぎない安全性に配慮された競馬を実現しています。これは歓迎すべきことでしょうが、ご承知のようにワンターンの1800mと世界的にも珍しい距離設定で、2コーナー奥のシュート(引き込み)から900mと長い向こう正面の直線を走ります。馬群は一塊りで横いっぱいに広がって先を争います。外の馬ほど大きく距離ロスするのは仕方がないです。矢作芳人師も坂井瑠星騎手も、そんなことは百も承知でレースに臨むでしょうから、情熱と勇気を秘めたホースマンとこの日に備えたフォーエバーヤングの底力を信じるばかりです。師が力強く述べるように、サウジカップから出発して、中継点のドバイワールドカップ、そしてゴールのブリーダーズカップクラシックまで〝全部とりに行く〟決意にエールを送るばかりです。

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