海外だより

サウジカップデー迫る

〝最強寒波〟に見舞われている日本とは裏腹に、中東サウジアラビアで行われるサウジカップデーが、もう来週に迫っています。今年はJRAからもサウジカップの馬券発売が実施されますが、イギリスなどに本拠を置く大手ブックメーカー各社の発表オッズも日に日に熱を帯びています。まずこちらのウィリアムヒル社を参考に、主催者発表順に日本調教馬出走の各レースをザッと展望しておきます。

最初にG3サウジダービー1600mから。フォーエバーヤングが勝った由緒あるレースですが、今年も日本調教馬人気が沸騰しています。無敗で全日本2歳優駿を制した牝馬ミリアッドラヴが堂々の1番人気です。勝てばケンタッキーオークス挑戦の声も掛かりそうで楽しみが広がります。

どのレースをとっても日本馬優勢の見立てが圧倒的なのですが、次にご紹介するレースだけが例外。BCスプリントを勝った世界王者ストレイトノーチェイサーが2.25倍の大本命ですね。2.75倍でリメイクが追いかけ、3番手以下もガビーズシスター、ジャスパークローネ、チカッパ、イグイナイターと日本馬が10倍代前半のオッズで続いています。世界チャンピオンVS日本精鋭勢という構図です。中でも注目はリメイクでしょうか。海外遠征に強い馬でG3コリアスプリントで連覇を果たし、世界トップクラスのG1ドバイゴールデンシャヒーンでも5着・4着と掲示板を外していません。日本勢が苦手とされる短距離戦線で、これだけの実績は立派です。今年はG2昇格したリヤドダートスプリントの史上初の連覇達成をステップにゴールデンシャヒーン戴冠が目標でしょう。先行抜け出しと安定したレースぶりに一日の長を感じさせるストレイト相手にどんな競馬を見せてくれるか、ワクワクさせられます。

その他のレースでも芝のスプリントG2戦、1351ターフスプリントでは、アスコリピチェーノ、ウインマーベル,テンハッピーローズと日本馬がオッズ上位を独占しています。距離を延ばして芝2100mのG2ネオムターフカップは世界的知名度のあるシンエンペラーが主役です。今年はここからスタートして、ドバイのシーマクラシック、そして秋には凱旋門賞でのリベンジを誓っています。全兄ソットサス同様に4歳時での大願成就が叶うでしょうか。そうした意味でも負けられない一戦でしょうね。もう一つの長距離戦・芝3000mのレッドシーターフHはビザンチンドリームが日本代表です。新馬、G3きさらぎ賞を連勝した素質馬で、その後の不振から立ち直りに手間取っていますが、近親には香港カップなど海外遠征で底力を振り絞ったノームコア、古馬になって大成したクロノジェネシス姉妹がおり、環境が変わって本来の資質が目覚めないでしょうか?外国勢からはダービー馬オーギュストロダン同様にエイダン・オブライエン厩舎所属で英セントレジャーを勝ったハーツクライ産駒コンティニュアスが出走します。少し順調さに欠けるようですが、ポテンシャルの高さはここでも十分に通用するはずです。

この1年ちょっとの短い間に、世界のダート界にあって最高の栄誉ケンタッキーダービー、そして最強の頂点BCクラシックを舞台に、ともに後一歩まで詰め寄った〝若武者〟フォーエバーヤングが、日本ダート界が世界へと羽ばたく〝改革〟の結晶とも言える第1回ジャパンダートクラシック、目覚ましい進化を遂げた1年間の総決算である東京大賞典を連勝して、推しも押されぬ〝総大将〟へと名乗りを上げました。これだけ強くて、しかも順調に歩みを進める馬も珍しいですね。その一方で、1着賞金1000万ドル≒15億円と世界最高賞金を誇るサウジカップで、最有力視されていた〝ダートの絶対帝国〟北米勢が総崩れ、ゲートまで辿り着けない異常事態がサウジカップに襲いかかっています。

その筆頭ローレルリバーは、昨年のドバイワールドカップで8馬身半と影も踏ませぬ逃走劇を演じてレーティング世界No. 1タイの128ポンドを獲得した文句なしの王者です。さらに先月行われた強豪が参集するペガサスワールドカップを6馬身余の圧勝を遂げた一昨年のBCクラシック王者ホワイトアバリオが復活を満天下に宣言しました。そしてケンタッキーダービーの直線でフォーエバーヤングと馬体をぶつけ合い続ける熾烈なバトルを演じたシエラレオーネはひと夏を越してBCクラシックを制して最強王者へと成長を遂げています。世界三強が、揃いも揃ってサウジアラビアに姿を現せないなどと誰が想像できたでしょうか。競馬には良く起こるアクシデントなのですが、こうなると紆余曲折おびただしい世界で、唯一何事もなかったように平常の姿で全レースに出走し続けたフォーエバーヤングの存在感が光ります。健康で、賢く、偉い馬です。来週もサウジカップデーの続報をお送りします。

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