海外だより
中東キャラヴァン
2月の日本競馬は厳寒期でダート番組がメインを貼りますが、地球の反対側の南半球では逆にここからクライマックス。カタール、バーレーン、サウジアラビア、ドバイを巡る〝中東キャラヴァン〟が2月最終週から4月初週まで開催されます。1着1000万ドル≒15億円余と〝掟破り〟サウジカップを筆頭に超高額賞金レースも目白押し、世界中から名だたる強豪たちが参集します。今年、ロンジン世界ランキングでは、国別で日本調教馬が世界一の勢力に成長を遂げ、昨年はジャパンカップがレースレーティングNo.1に輝きました。日本競馬の国際的な影響力が増大しています。海外馬券も定着するなど、いろんな面でリーダーシップを発揮しようとしています。そこで生産・育成・調教されるサラブレッドたちも日々進化を遂げ、確実に強くなっています。しかし一方では、他の国々も事情は同じでしょう。進化するサラブレッドたちは、いつまでも同じではありません。先週はダート帝国アメリカで今季初のG1戦が行われ、2年前のBCクラシック王者ホワイトアバリオbyレースデイ(その父タピット)が6馬身半ちぎる圧勝で鮮やかな復活劇を演じました。この馬の権利の一部をサウジアラビアのファイサル王子が所有しており、1着賞金1000万ドルの大一番サウジカップでは、フォーエバーヤングなど日本勢の前に立ちはだかるかもしれません。
躍進ぶりが際立っているのは、お隣り香港のサラブレッドたちです。総将軍ロマンティックウォーリアbyアクラメーションが世界最強馬への階段を軽やかなテンポで駆け上がっています。この父系から、今季の英愛リーディングサイアーに輝いたダークエンジェルbyアクラメーションを輩出、サドラーズウェルズ・ガリレオ・フランケルと30年を超えて世界の頂点に君臨し続けた絶対王者の系譜を打ち破った旬の父系です。その先頭を牽引するのがロマンティックウォーリアが、生産頭数でアメリカを追う競馬大国オーストラリアの中距離頂上戦として知られるG1コックスプレート2040mを制覇したのは一昨秋のことでした。あれから15ヵ月、彼は8戦8勝と不敗の快進撃を続けています。内G1を7勝、地元香港の主要レースを総ナメした上で日本の安田記念、ドバイのジェベルハッタも含まれています。文句なしに強い馬です。ワールドクラスの頂点を形成する1頭であるのは間違いありません。
先週メイダン競馬場で行われたジェベルハッタには、ゴドルフィンの総大将レベルズロマンスbyドバウィの半弟メジャードタイムbyフランケルも出走していました。前走で、ジャスタウェイが130ポンドでレーティング世界一に君臨したドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)で樹立したレコードを、実に10年ぶりに破った売り出し中の超良血馬です。その快記録を1ヵ月足らずで過去送りしたのがロマンティックウォーリアでした。ジャスタウェイの後方から馬群を切り裂くように6馬身余りをド派手にブチ抜いたパフォーマンスも凄かったですが、まるでサイレンススズカのように大逃げを打つメジャードタイムを自ら捕まえに行き、ラスト1ハロン足らずで4馬身半も軽々と突き放した底力は相当に奥深く感じられました。最新のロンジン社・世界ランキングで、ロマンティックは5位タイの125ポンドに評価されています。時代も離れていますし、相手関係もまったく異なっていますが、ファンの脳裏に映し出される競馬場では、ジャスタ130ポンドVSロマンティック125ポンドといった大きな差異は、今や存在しない気がします。
さてロマンティックウォーリア、この先はダート路線に殴り込みをかけるべく、1着賞金1000万ドル≒15億円余のG1サウジカップに狙いを定めているようです。彼のダート適性は謎に包まれていますが、決戦の地キングアブドゥルアジーズは〝芝砂二刀流〟の達人を輩出する傾向があります。初期には仏ダービー馬ミシュリフbyメイクアビリーヴが世界を驚かせ、一昨年のパンサラッサbyロードカナロアは、ご存じのようにドバイターフを勝ち、天皇賞秋でイクイノックスの2着に逃げ粘った芝の快速馬です。世界的も珍しいワンターンで起承転結する1800m戦というスピードを生かし易いコース設定の影響もあるのでしょうが、芝馬・ダート馬というカテゴリーはもう古いのかも。さて、活きの良さではピカイチの香港勢、今は無名でも明日のヒーローに成り上がる可能性を秘めた馬が少なくないようです。〝お家芸〟スプリント路線では、カーインライジングbyシャムエクスプレス(ラストタイクーン系)という新怪物が彗星のように現れました。野性の勘か眼を見張らさせるゲートの鋭さ、馬なりのまま好位を追走するスピード、ムダのない道中のレースセンス、一瞬で弾ける瞬発力の凄まじさ、どれをとっても天才の技です。一服の名画、もはや芸術の域に達しています。香港スプリントを連覇して〝龍王〟と恐れられた全盛期のロードカナロアと戦わせてみたいと思わせるサラブレッドです。恐れをなしたライバルたちが海外遠征に活路を求めると噂されます。日本調教馬の活躍に期待するのは無論ですが、こうした異国の隠れた逸材に目を配るのも〝中東キャラヴァン〟の楽しみの一つです。
躍進ぶりが際立っているのは、お隣り香港のサラブレッドたちです。総将軍ロマンティックウォーリアbyアクラメーションが世界最強馬への階段を軽やかなテンポで駆け上がっています。この父系から、今季の英愛リーディングサイアーに輝いたダークエンジェルbyアクラメーションを輩出、サドラーズウェルズ・ガリレオ・フランケルと30年を超えて世界の頂点に君臨し続けた絶対王者の系譜を打ち破った旬の父系です。その先頭を牽引するのがロマンティックウォーリアが、生産頭数でアメリカを追う競馬大国オーストラリアの中距離頂上戦として知られるG1コックスプレート2040mを制覇したのは一昨秋のことでした。あれから15ヵ月、彼は8戦8勝と不敗の快進撃を続けています。内G1を7勝、地元香港の主要レースを総ナメした上で日本の安田記念、ドバイのジェベルハッタも含まれています。文句なしに強い馬です。ワールドクラスの頂点を形成する1頭であるのは間違いありません。
先週メイダン競馬場で行われたジェベルハッタには、ゴドルフィンの総大将レベルズロマンスbyドバウィの半弟メジャードタイムbyフランケルも出走していました。前走で、ジャスタウェイが130ポンドでレーティング世界一に君臨したドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)で樹立したレコードを、実に10年ぶりに破った売り出し中の超良血馬です。その快記録を1ヵ月足らずで過去送りしたのがロマンティックウォーリアでした。ジャスタウェイの後方から馬群を切り裂くように6馬身余りをド派手にブチ抜いたパフォーマンスも凄かったですが、まるでサイレンススズカのように大逃げを打つメジャードタイムを自ら捕まえに行き、ラスト1ハロン足らずで4馬身半も軽々と突き放した底力は相当に奥深く感じられました。最新のロンジン社・世界ランキングで、ロマンティックは5位タイの125ポンドに評価されています。時代も離れていますし、相手関係もまったく異なっていますが、ファンの脳裏に映し出される競馬場では、ジャスタ130ポンドVSロマンティック125ポンドといった大きな差異は、今や存在しない気がします。
さてロマンティックウォーリア、この先はダート路線に殴り込みをかけるべく、1着賞金1000万ドル≒15億円余のG1サウジカップに狙いを定めているようです。彼のダート適性は謎に包まれていますが、決戦の地キングアブドゥルアジーズは〝芝砂二刀流〟の達人を輩出する傾向があります。初期には仏ダービー馬ミシュリフbyメイクアビリーヴが世界を驚かせ、一昨年のパンサラッサbyロードカナロアは、ご存じのようにドバイターフを勝ち、天皇賞秋でイクイノックスの2着に逃げ粘った芝の快速馬です。世界的も珍しいワンターンで起承転結する1800m戦というスピードを生かし易いコース設定の影響もあるのでしょうが、芝馬・ダート馬というカテゴリーはもう古いのかも。さて、活きの良さではピカイチの香港勢、今は無名でも明日のヒーローに成り上がる可能性を秘めた馬が少なくないようです。〝お家芸〟スプリント路線では、カーインライジングbyシャムエクスプレス(ラストタイクーン系)という新怪物が彗星のように現れました。野性の勘か眼を見張らさせるゲートの鋭さ、馬なりのまま好位を追走するスピード、ムダのない道中のレースセンス、一瞬で弾ける瞬発力の凄まじさ、どれをとっても天才の技です。一服の名画、もはや芸術の域に達しています。香港スプリントを連覇して〝龍王〟と恐れられた全盛期のロードカナロアと戦わせてみたいと思わせるサラブレッドです。恐れをなしたライバルたちが海外遠征に活路を求めると噂されます。日本調教馬の活躍に期待するのは無論ですが、こうした異国の隠れた逸材に目を配るのも〝中東キャラヴァン〟の楽しみの一つです。