海外だより

唯一無二のレースたち

有馬記念の「公開枠順抽選会」のレセプション席上で、競馬会における女性のパイオニアとして活躍した皆さんの特別表彰が行われました。この粋なはからいには、来年3月にJRA初の女性調教師として晴れて厩舎を開業する前川恭子さんも勇気百倍の思いでしょうか。 55年の長きにわたり親しまれている国民的アニメ「サザエさん」の声優・加藤みどりさん、女性競馬中継アナウンサーの道を切り拓いた井口保子さん、日本初の女性競馬新聞記者であり、後にミスターシービーの吉永正人騎手・調教師の奥様としてベストセラー「気がつけば騎手の女房」を上梓した吉永みち子さん、競馬のテレビ中継を通じてファン拡大に貢献されて来た鈴木淑子さんがJRAの吉田正義理事長から表彰されました。おめでとうございます。中でも鈴木淑子さんは、この「枠順抽選会」の前身とも言える中山馬主協会主催の「有馬記念プレミアムレセプション」時代から司会などで大変にお世話になりました。中山競馬場の宝である有馬記念の盛り上がりを通じて、愛する競馬の成長と発展を後押ししようという西川賢会長の発案と会員馬主さんの献身的なご協力で始まった会ですが、JRAに引き継がれて日本中から注目される一大イベントとなったのは感無量です。

報道などでご覧になった方も多いでしょうが、加藤みどりさんのご挨拶が心に沁みました。
「サザエさんは7000回、8000回と放送してきましたが、一つとして同じ作品はありません。競馬も同じで、一つも同じレースはありません。それが永遠に続くよう、サザエさんと一緒にどうぞよろしくお願いします」
素晴らしい言葉をいただきました。競馬の一レース、一レースがそうした〝特別な存在〟であり、アメリカ大リーグが大谷翔平選手を〝唯一無二〟と讃えたようにリスペクトされるべき、そう思えてきてます。そして、それらはレースの数だけ存在する価値ではなくて、それらを観戦し心に刻み込んだファンの数を掛け合わせた無数の価値として、宇宙の星々のように私たちを包んでいるかのようです。

そうした思いが、とくに強くなるのは有馬記念というレースかもしれません。有馬記念だけが競馬じゃないのは無論ですが、特別な思いを抱くことが許されるレースであるのかもしれません。今年もいくつもの、このレースだけが持つ特別な意味や唯一無二の価値がきらめています。あと2日、今年も最高のワクワクドキドキを味わえそうです。

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